東北大学発ベンチャーのFOXやC&A、東北大学および、三重大学の研究グループは、OCCC法と呼ぶ新たな結晶育成手法により、直径3.5インチの「酸化ガリウム単結晶」を作製することに成功した。開発した育成手法は、高価なイリジウムるつぼなどを使わなくて済むという。
東北大学発ベンチャーのFOXやC&A、東北大学未来科学技術共同研究センターの鎌田圭教授、同金属材料研究所の吉川彰教授および、三重大学半導体・デジタル未来創造センターの姚永昭教授は2026年7月、OCCC法と呼ぶ新たな結晶育成手法により、直径3.5インチの「酸化ガリウム単結晶」を作製することに成功したと発表した。開発した育成手法は、高価なイリジウムるつぼなどを使わなくて済むという。
パワー半導体デバイスでは、省エネルギー化が求められている。こうした中で酸化ガリウムは、シリコンに比べ約3400倍、炭化ケイ素(SiC)に対して約10倍という省エネルギー効果が期待される材料である。しかも、結晶成長はSiCに比べ10〜100倍も速い。ただ、これまでの結晶育成法では貴金属であるイリジウムのるつぼやヒータ部材を用いていた。このため、結晶のコスト低減や高品質化が難しかったという。
研究グループは今回、イリジウムを用いない新たな結晶育成技術を搭載した結晶育成炉を開発した。この結晶育成法は、高周波磁場によって原料を直接加熱し溶解。原料自身が形成する固化層で溶液を保護する。
大口径化に対しては、融液量の増大による熱勾配や冷却条件、融液対流、高周波条件などを最適化する必要がある。そこで、大容量結晶製造装置に加え、発振器信号と結晶重量を用いて、結晶径を自動制御する独自ソフトウェアを開発した。開発した育成システムを用い、小さい種結晶から3.5インチの大口径酸化ガリウム単結晶を育成させることに成功した。
三重大学は、放射光X線トポグラフィーを用い、OCCC法で育成した酸化ガリウム単結晶の結晶性と転位分布を評価した。これらのデータに基づき、高品質化と大口径化を実現していくため、結晶成長条件の最適化に取り組む。
今回の研究成果を基に参画企業のFOXは、OCCC法を用いた酸化ガリウム単結晶のさらなる高品質化と大口径化および、安定した生産技術の確立を急ぐ。同時に酸化ガリウムパワーデバイスの早期実用化に向け、国内外の研究機関やデバイスメーカーとの連携を強化していく。同様にC&Aでは結晶育成装置の製品化を行い、研究機関やデバイスメーカーに供給していく。
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