大阪大学の研究グループは、東京大学や沖縄科学技術大学院大学と共同で、ファンデルワールス強磁性体「Fe5GeTe2(FGT)」が常磁性から強磁性へと磁気相が変化する際に、電流をスピン流に変換する効率が約1桁も変わることを明らかにした。
大阪大学の研究グループは2026年9月、東京大学や沖縄科学技術大学院大学と共同で、ファンデルワールス強磁性体「Fe5GeTe2(FGT)」が常磁性から強磁性へと磁気相が変化する際に、電流をスピン流に変換する効率が約1桁も変わることを明らかにした。
電流をスピン流に変換するスピンホール効果は、物性物理学において基本的な現象の1つだ。スピン流は磁性体の磁化を効率的に制御できる。このため、次世代不揮発性磁気メモリなどの駆動原理として注目されている。
研究グループは今回、FGTと銅、強磁性金属(パーマロイ)を積層した薄膜素子を作製し、スピントルク強磁性共鳴法によって、FGTのスピンホール効果を評価した。この結果、FGTがキュリー温度Tc(約310K)を下回り、磁石としての性能を持ち始めるとスピンホール効果は急激に強まった。低温で白金(Pt)やタングステン(W)に匹敵する変換効率が得られたという。
さらに研究グループは、測定温度を系統的に変化させた。そうしたところ、FGTが常磁性から強磁性へと磁気相が変化する際、変換効率が約1桁も変わることを確認した。この結果は、磁気相転移を活用した次世代磁気メモリデバイスの新機能発現につながるとみている。
今回の研究成果は、大阪大学大学院理学研究科物理学専攻の太田智陽氏(現在は東京大学物性研究所助教)や先導的学際研究機構スピン学際研究部門の近藤浩太准教授(当時は理化学研究所上級研究員)と、同大学院理学研究科の新見康洋教授グループ、東京大学物性研究所の大谷義近教授グループ、沖縄科学技術大学院大学量子物質科学ユニットの岡田佳憲准教授グループらによるものだ。
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