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圧力をかけると明るく光り発光色も変わる結晶、大阪大圧力感度は分子性材料で最高値

大阪大学と高輝度光科学研究センター(JASRI)、リガクの研究グループは、圧力をかけると明るく光り、発光色も変わる結晶を発見した。圧力計や偽造防止材料などへの応用が期待される。

» 2026年09月24日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

フェナントレンとアントラセンを直線状に結合したπ共役分子を設計

 大阪大学と高輝度光科学研究センター(JASRI)、リガクの研究グループは2026年9月、圧力をかけると明るく光り、発光色も変わる結晶を発見したと発表した。圧力計や偽造防止材料などへの応用が期待される。

 圧力をかけると発光色が変わる材料は、センサーや情報記録、偽造防止などへの応用が注目されている。ただ、一般的な「光る有機分子の結晶」は、圧縮によって分子が近づきすぎると、発光が弱くなっていた。このため、丈夫で単純な芳香族炭化水素において「明るく光り」「色が大きく変わる」ことを両立させることは難しかったという。

 研究グループは今回、フェナントレンとアントラセンを直線状に結合した細長い骨格のπ共役分子を設計、これをダイヤモンドアンビルセルに封入し圧力をかけて特性を調べた。この結果、細長い分子では1.4GPa(約1万4000気圧)まで発光強度が約1.7倍に増えた。3.5GPa(約3万5000気圧)まで加えると、458nmだった発光ピークが589nmまで移動し、発光色は水色から黄色に変わった。この時の圧力感度は37.4nm/GPaで、分子性材料としては最高値だという。圧力を戻せば元の発光に戻った。

今回の研究概要[クリックで拡大] 出所:大阪大学

 大型放射光施設「Spring-8」を用いた測定結果によると、細長い分子の結晶は圧力をかけても分子の長さ方向はほとんど変わらないが、分子が積み重なる方向には10%以上縮むことが分かった。これにより、隣り合う分子の光る面同士が近づき、2つの分子が一時的にペアを組んだ状態で発光するため、色変化が生じたと分析している。しかも、圧力を加えたことで結晶が硬くなり明るくなったとみている。

 分子の特性を比較するため、幅広い骨格の分子も設計し検証した。幅広い分子の結晶は、3.8GPaの圧力を加えると発光が約4分の1に弱まった。発光色は水色から緑色に変わった(圧力感度は15.3nm/GPa)。これらのことから、分子の細長さが性能を決めていることが明らかになった。

細長い骨格の分子と幅広い骨格の分子における特性比較[クリックで拡大] 出所:大阪大学

 今回の研究成果は、大阪大学大学院基礎工学研究科の桶谷龍成講師、久木一朗教授、新堀魁星氏(2025年3月博士前期課程修了)、神山凌弥氏(2026年3月博士前期課程修了)、五月女光助教、同研究科附属極限科学センターの中本有紀助教、高輝度光科学研究センター(JASRI)の平尾直久主任研究員、門林宏和研究員、リガクの佐藤寛泰氏らによるものだ。

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