東芝の欧州現地法人であるToshiba Electronics Europeは世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Expo & Conference 2026」(2026年6月9〜11日/ドイツ・ニュルンベルク)において炭化ケイ素(SiC)MOSFETをプリント基板(PCB)に埋め込んだパワーモジュールの試作品を初公開した。
東芝の欧州現地法人であるToshiba Electronics Europe(以下、東芝)は世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Expo & Conference 2026」(2026年6月9〜11日/ドイツ・ニュルンベルク)において炭化ケイ素(SiC)MOSFETをプリント基板(PCB)に埋め込んだパワーモジュールの試作品を初公開した。
今回展示していたのは、SiC MOSFETをPCB内部に直接埋め込んだ構造のデバイス技術(PCB embedded dies)だ。同社説明担当者は同技術について「将来のパワーモジュールの小型化に向けたものだ」と語った。従来のパワーモジュールでは、配線やパッケージ構造に起因する寄生インダクタンスが高速スイッチング時の課題となる。特にSiC MOSFETは高速スイッチング性能を特徴とするため、その性能を十分に引き出すには寄生インダクタンスの抑制が重要になる。
そこで、この技術ではSiC MOSFETをPCB内部に埋め込むことでスイッチング電流が流れる経路を短縮し、寄生インダクタンスを低減する。これにより高速スイッチングが可能となり、インダクターやコンデンサーなど周辺受動部品のさらなる小型化につながる。結果として、インバーター全体の高電力密度化を実現できるとしている。また素子の周囲には絶縁性と放熱性を確保する構造を採用している。
同技術は東芝が「ドイツの技術研究機関」と共同で、約2年をかけて開発してきたというもので、現在も研究開発を進めているという。説明担当者は「同モジュールの開発においてはPCBそのものだけでなく、SiC MOSFETチップ側も基板内部に埋め込めるような表面処理技術が必要だった」などと語っていた。展示していた試作品は、650V SiC MOSFETを用いたハーフブリッジ構成で、最大定格電流750Aに対応するという。
同社は現在、顧客やパートナー企業と事業化の可能性について協議を進めている段階だという。なお、東芝は自社でPCB製造設備を持たないため、将来的にはパートナー企業との協業による製品化が想定されるとしている。
説明担当者は「どのようなアプリケーションに適用できるかは、現在顧客と活発に議論しているところだが、特に自動車分野からの関心が高く、EV向けトラクションインバーター用途への期待がある。フォームファクターを大幅に小型化できるため、コストや設置スペースの最適化につながるからだ」と語っていた。
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