先月の連載で、私は読者の皆さんに、「『痩身ダイエットは種の存続が危機にさらされる可能性ががあるのにもかかわらず、痩身が美しいと認識されてしまう理由』を合理的に説明する仮説」を募集しました。
今回は、募集に応じていただいた皆さんの仮説の概要をご紹介したいと思います。
種を保存させるために自然が準備してくれた「性欲」は、今や、オートメーション的に処理され十分に機能しなくなっています。実際、インターネットによって、男女を問わず性欲処理用のコンテンツやデバイスが、手軽で安価に入手可能です。
(江端の所感)私は、今のペースで人口が減り続けていけば、西暦3222年に日本人の数がゼロになるという計算結果を出したことがあります(参考)。核戦争ではなく、インターネットが人類を絶滅させるかもしれないという仮説は、説得力があります。
痩せるのは難しいですが、太るのは簡単です。だから、痩せていることは出産リスクになりません。
(江端の所感)出産リスク回避の方法としては、その通りですが、「痩せている異性(主に女性)」を「好む(主に男性)」理由の説明にはなっていないと思います。それに、過去の人類の歴史(数万年オーダ)において「太るのは簡単」ではなかったと思いますので、簡単にリスク回避ができたとは思えません。
性淘汰とは、異性をめぐる競争に関しては、種の保存法則に反することも行うという考え方です。例えば、クジャクは、天敵の目標とされるリスクがあるのにもかかわらず、ケバケバしい色の羽で異性にアピールします。
(江端の所感)これも、種の保存法則との矛盾を説明するには十分だと思いますが、「痩せている人間(主に女性)」を「好む(主に男性)」理由の説明には足りないと思います。
人類は、防寒や外傷を避けるために、衣服という防護具を装着しなければなりませんでした。しかし、異性を魅了する第1歩は「見た目」です。そこで人類は、防護具を装着しても、なお美しく装うために、身体の方を改造する(痩せる)ことを選択したのです。
(江端の所感)「防護具を美しく装着する」ところまでは分かりますが、「美しく装着」した状態を、「好む」理由の説明には足りないと思います。
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