フランスの市場調査会社Yole Groupによると、2024年の車載半導体市場は680億米ドル規模で、首位はInfineon Technologies。ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は5位だった。
フランスの市場調査会社Yole Groupは2025年7月31日、世界車載半導体市場の最新レポートを発表した。それによると、2024年の車載半導体市場は680億米ドル規模で、首位はInfineon Technologies(以下、Infineon)となった。ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は5位にランクインしている。
同レポートでは、世界車載半導体市場は2024年から2030年まで年平均成長率(CAGR)12%で拡大し、2030年には1320億米ドル規模にまで成長すると予測している。自動車1台当たりの半導体デバイスの価格は2024年の約759米ドルが2030年には約1332米ドルに、自動車1台当たりの搭載数は2024年の約824個から2030年には約1158個にそれぞれ増加する見込みだ。
Yoleはこの成長を支える「構造的要因」として3つを挙げる。1つは、電動化によるパワーエレクトロニクス、特にワイドバンドギャップ(WBG)半導体スイッチの採用増加だ。もう1つは、ユーロNCAP 2026年プロトコルや米国の自動緊急ブレーキ(AEB)義務化、中国のC-NCAPのアップグレードによって、エントリーモデルを含む全ての車種で追加のカメラやレーダー、ドメインコントローラーの搭載が進むことだ。そして最後はE/E(電気/電子)アーキテクチャの進化によって、中央集約型システムへの移行および電源システムの48V化が進み、今後数年間で高度なMCUと新たなPMICのグループが必須となることだ。
なお、バッテリー電気自動車(BEV)の成長は主要市場全体で鈍化している(欧州では改正排ガス規制が自動車メーカーにBEV拡充を促しているため、一部相殺されていると説明)一方で、Yoleは、デュアルモーター搭載のプラグインハイブリッド車(PHEV)が中国を皮切りに、今後世界的に拡大していくことを見込んでいる。同社は2024年から2030年の平均成長率が、BEVが14%なのに対し、PHEVは19%で拡大すると予測しているという。
また、最近のN型SiC基板の急速な価格低下についても、「価格低下がインバーターにおける炭化ケイ素(SiC) MOSFETの採用が拡大している」と説明。BEVだけでなく、大容量バッテリーを搭載したPHEVも、800Vプラットフォームと組み合わせSiCを急速充電に採用しているという。Yoleは「中国自動車メーカーの優位性は、グローバルなメーカーがキャッチアップするにつれ縮小していくだろう」とも述べている。
Yoleはさらに「AIは自動車業界を含む全ての産業を例外なく変革している。先進運転支援システム(ADAS)向けのマルチモーダルインタフェース、エンドツーエンドおよびVLA(Vision-Language-Action)モデルが最初の応用例で、開発、製造、マーケティング、アフターマーケットなど、より多くの分野でAIの活用が普及しつつある」とも述べている。
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