AI(人工知能)に関する記事は、メディアにあふれ返っています。私は「これらの記事では“人工知能”のことがさっぱり分からん」との結論に至りましたが、では、人工知能を技術的に理解している人は実際どれだけいるのでしょうか。ざっくり推定すると、なんと、例えば「深層学習」を理解している人は50万人のうち4人、という結果を得たのです。
今、ちまたをにぎわせているAI(人工知能)。しかしAIは、特に新しい話題ではなく、何十年も前から隆盛と衰退を繰り返してきたテーマなのです。にもかかわらず、その実態は曖昧なまま……。本連載では、AIの栄枯盛衰を見てきた著者が、AIについてたっぷりと検証していきます。果たして”AIの彼方(かなた)”には、中堅主任研究員が夢見るような”知能”があるのでしょうか――。⇒連載バックナンバー
この連載で、多くの方は、「『江端は、コンピュータが知能を持つことはありえない』と主張しようとしている」と思っているかもしれませんが、実はそういう訳ではないのです。
そもそも、"人工知能技術"などを用意するまでもなく、コンピュータには知性があり、感情があります ―― それも、人間に対して相当に意地の悪い感情です。
これは30年近く、毎日コンピュータ(メインフレーム(スパコンを含む)から、PC、組み込み用のボードコンピュータに至るまで全般)を扱ってきたこの私が、経験上、このように言わざるを得ない膨大な事実の積み重ねがあるからです。
例えば「PC」をうまく操作できない人は、
などの現象に、日常的に何度も直面しています。
これらの現象が起こるのは、あなたが「PCになめられている」から、としか思えないのです。
―― PCは『お前なんかに自由に使われてたまるものか』とあざ笑っている
―― 『どうせお前には何もできやしないだろう』と、あなたをバカにしている
(そして、世界中で、頭に来た人が、窓からPCを投げ捨てるという事件が起こっています(参考ニュース)。)
私がこのように、非論理的な見解を述べるのには理由があります。
それは、嫁さんや娘たちが操作して、ウンともスンとも言わないPCを、私が、全く同じ手順で操作するだけで動き出す ―― という現場に、偶然といえる頻度を、はるかに超える確率(ほぼ100%)で立ち会っているからです。
私の場合、PCが私を「なめる」ような挙動を示したら、私はPCを絶対に許しません。
「OSの稼働状態」「タスクの実行パターン」「それぞれのプロセスの因果関係」を徹底的に調べ上げ、PCのソフトウェアのみならず、ハードウェアまで丸裸にするまで解析し、原因の所在をつきとめます。
必要なら、「OSのダンプリストを読み上げ」「ドライバソフトウェアを切り離し」「常駐タスクをたたき殺し」「アプケーションをアンインストール」します。
さらに、それでも動かなければ「HDDをPCから抜きとり、自宅の車庫で自動車で踏みつぶし」た後、「PCの廃棄業者に電話する」まで、10分もかかりません。
PCは、自分の生殺与奪(せいさつよだつ)の権能を持つ人間 ―― つまり、私のようなITエンジニア ―― には、絶対服従します。
その一方で、そして、そのようなリテラシーのない人 ―― 私の家族 ―― のような人間を、徹底的にバカにしているのです。
これが、どんなに非論理的で、非科学的な見解であるかは、私自身が一番よく分かっています。
しかし、それでもなお ――コンピュータは、「人を見ている」―― と解釈しないと説明ができないほどに、事実が論理を凌駕(りょうが)しているのです。
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