メディア

【ESEC2009】SSDの書き換え寿命を大幅に延長、TDKがコントローラを開発メモリ/ストレージ技術 SSD

» 2009年05月14日 15時04分 公開
[山口哲弘,EE Times Japan]

 TDKは、書き換え寿命を大幅に延長したSSD(Solid State Drive)の「GBDisk SDG2A」シリーズを開発し、組み込み機器の総合展示会「第12回組込みシステム開発技術展(ESEC2009)」(209年5月13〜15日に東京ビッグサイトで開催)に展示した。2.5インチ型で、記憶容量が1G〜64Gバイトまでの7品種があり、例えば16Gバイト品では、約62億回の書き換え回数が確保できるという。これは、毎秒20回の書き換え頻度を約10年間続けた回数に相当する。事実上、書き換え回数の制限がなくなる。

 TDKが開発したSSD向けコントローラLSI「GBDriver RS2」は、同社独自の「全領域スタティック・ウエアレベリング」と呼ぶ、書き換え回数の均一化アルゴリズムを備える。これによって事実上無制限な書き換え回数を実現した。

 一般にNAND型フラッシュ・メモリーには書き換え可能回数に制限があり、SLC(Single Level Cell)品で10万回程度、MLC(Multi Level Cell)品で1万回以下である。そこで、同じメモリー素子ばかりを書き換えないよう、書き換え回数の均一化を図るのが一般的だ。つまり、同じファイル名のデータを書き換えた場合でも、そのデータを記録するメモリー素子を次々と変えていく。このときのアルゴリズムには大きく分けて、ダイナミック・ウエアレベリングと、スタティック・ウエアレベリングの2つがある。

図1 図1 TDKが開発したSSDとコントローラLSI
図2 図2 S.M.A.R.TによってSSDの書き換え回数を表示するソフトウエア

 ダイナミック・ウエアレベリングとは、データを書き込もうとするときの空き領域の中だけで均一化する方式だ。この場合、OSを構成するファイルなど、書き換えることのないデータ領域は、ウエアレベリングの対象とはならず、SSDを構成するNAND型フラッシュ・メモリーの一部の領域だけ、書き換え回数が多くなってしまい、書き換え可能な残り回数の分布が偏ってしまう。

 それに対してスタティック・ウエアレベリングとは、書き換えが発生していないデータについても、定期的に別領域に移動させて、書き換え可能な残り回数の分布が均一になるようにする方式である。ただし従来のスタティック・ウエアレベリングは、チップ内でしかウエアレベリングを実施しなかった。TDKが開発したコントローラのウエアレベリングでは、複数のチップにまたがってスタティック・ウエアレベリングを実施するようにした。複数チップのNAND型フラッシュ・メモリーを積んでいる大容量のSSDであっても、SSDを構成するチップ全体で書き換え回数を均一化できる。

 例えば記憶容量が2GバイトのSSDが備える有効ブロック数は7782個である。SLCチップの場合、1ブロック当たり10万回の書き換えが可能なので、全体で7億7820万回の書き換えが可能な計算になる。これは、24時間365日稼働を10年間続けた場合、1秒当たり1.23回の書き換えに相当する。16GバイトのSSDでは、有効ブロック数が6万2259個なので、全体の書き換え可能回数が62億2590万回になり、24時間365日稼働を10年間続けた場合、1秒当たり19.74回の書き換えという計算だ。

 同社は、SSDだけでなく、コントローラLSIも外販するとしている。対応するフラッシュ・メモリーは、ページ容量が2Kバイトまたは4KバイトのNAND型で、ベンダーは問わない。SLCタイプとMLCタイプの両方に対応する。ホスト・コンピュータとのインターフェースは、3Gビット/秒対応のシリアルATA。128ビットのAES(Advanced Encryption Standard)暗号化機能を備える。S.M.A.R.T(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)のコマンドによって、全メモリーブロックの書き換え回数が取得できる。サンプル価格は2000円である。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.