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次世代スパコン、理研が富士通1社と開発プロセッサ/マイコン

当初計画に加わっていたNECと日立製作所が製造工程から離脱したものの、理化学研究所と富士通が10PFLOPS級のスカラー型スーパーコンピュータを2012年までに稼働させることが決まった。

» 2009年07月19日 11時00分 公開
[畑陽一郎,EE Times Japan]

 理化学研究所(理研)と富士通は、2009年7月17日、文部科学省が推進する「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクトに用いる次世代スーパーコンピュータに、富士通のスカラー型を単独で用い、当初の計画通り2012年に世界最高速のシステムを稼働させると発表した。2009年7月17日に開催された文部科学省の「次世代スーパーコンピュータ戦略委員会(第14回)」の議論を受けた発表である。

 理研のプロジェクトは、「地球シミュレータ」を超え、より高速で汎用性の高い計算機システムを構築することである。1秒間に1京回(10PFLOPS、ペタフロップス)の理論演算性能を追求するため、「京速計算機」とも呼ばれている。2006年9月に理研が概念設計を開始、2007年3月には兵庫県神戸市のポートアイランドに立地することが決まり、同年9月には国内3社がハードウェアの概略設計を終えていた。このとき、NECと日立製作所がベクトル型構成、富士通がスカラー型構成を用いていた。つまり、ベクトル・スカラー複合型システムの構成を目指していた。

ALT 図1 次世代スパコンに用いる富士通の「SPARC64VIII fx」 8個のコアを内蔵し、ピーク演算性能は128GFLOPSである。出典:富士通

 ところが、2009年5月、NECと日立製作所が同プロジェクト向けの製造工程から離脱してしまう。「本体製造に関連する投資が業績に大きな影響を与える規模となるものと見込」(NEC)んだことが理由だ。このため、1150億円を投じる同プロジェクトの開発スケジュール、さらには存続が危ぶまれていた。

 今回、スカラー型単独のシステム構成に変更しながら、スケジュールは変更せず、2010年に設置を開始し、2010年末にはシステムの一部が稼働するとした。2012年の完成を目指す。

 同プロジェクトでは、分散メモリ型計算機システムを採用する。プロセッサには、富士通が設計した「SPARC64 VIIIfx」を用いる(図1)。同プロセッサは45nmの製造技術を適用する。8個のコアを内蔵し、ピーク演算性は128GFLOPSである。従って、同プロジェクトでは約8万個のプロセッサを用いることになる。OSにはLinuxを採用した。

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