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Android搭載の「Google家電」に賭ける日本企業ビジネスニュース 業界動向

» 2009年08月19日 17時38分 公開
[Junko Yoshida,EE Times]

 「Googleケータイ」はあまりうまくいかないかもしれない。しかし、そこから生まれた急成長中の「Google家電」は、日本の家電メーカーが待ちに待っていた追い風になる可能性がある。

 世界市場における米Google社の勢いに便乗して、日本の企業はGoogle社が開発した「Android」を未来の民生機器の主要な要素として活用することを望んでいる。

 2009年8月11日、日本を拠点とする業界団体Open Embedded Software Foundation(OESF)は、セットトップ・ボックスやそのほかの民生機器に向けたAndroidの開発ロードマップの詳細を明らかにした。

 これに先立って、米MIPS Technologies社は、Android用に高精細(HD)ディスプレイ向け拡張ソフトウエアを開発するために、ある企業(社名は非公開)と協業する予定であると発表している。

図

 OESFは、デジタル・テレビやセットトップ・ボックスからIP電話機、そして車載機器や医療用組み込み機器など、さまざまな用途に向けたAndroid拡張ソフトウエアを開発しているという。

 より具体的な例を挙げると、デジタル・テレビやマルチメディア、「DLNA(Digital Living Network Alliance)」、Bluetooth、リモート・コントロール、ポインティング・デバイス、ネットワーク管理者向け機能、そしてユーザー・インターフェース拡張などに向けたソフトウエアを開発中だとしている。

 例えば、デジタル・テレビ向け拡張機能としては、放送の受信、EPG(電子番組表)やBML(Broadcast Markup Language)ブラウザの表示、番組の録画を可能にする一連のAPI(Application Programming Interface)を開発している。

 マルチメディア向けには、高精細(HD)な静止画像の表示と動画の再生機能を提供するソフトウエアを開発している。ほかにも、AndroidをDLNAやUPnP(Universal Plug and Play)に対応させるためのソフトウエアの開発も進めている。

 Androidが対応していないBluetoothプロファイルへの対応にも取り組んでいる。OESFは、医療用機器やゲーム機などの組み込み機器で無線通信をするために、Bluetoothは不可欠であると考えている。キーボードやタッチパネルを持たない民生機器にAndroidを対応させるには、リモート・コントロール機能用の拡張も欠かせないだろう。

 初めてのOESF独自バージョンはAndroid 1.5を基にしており、2009年11月中に会員企業に向けて公開される予定だ。一般公開は2010年2月の予定。この製品は「Apache License 2.0」に準拠した無償のオープンソース・ソフトウエアとして公開し、インターネット上で入手できるようにする予定だ。

 OESFの活動によって日本企業の間に生まれている熱意は、このプロジェクトの開発コード名に現れている。最初のバージョンには「Blueberry」という開発コード名が付いている。かわいらしさを好む日本人に敬意を表したものだ。日本語の報道資料によると、正式な開発コード名は「BlueberryCupcake」である。

図1 図1 OESFが公開したBlueberryCupcakeの開発計画

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