米国の市場調査会社であるDisplaySearch社によると、電子ペーパー・ディスプレイ市場は、2009年に総出荷台数が2200万台、売上高は4億3100万米ドルに達するという。また、今後10年間は年平均で、売上高は41%、出荷台数は64%で成長するとの予測を発表した。
現在、電子ペーパー・ディスプレイの応用範囲は電子書籍や電子新聞、携帯電話、電子棚札といった機器から、衣類などの身につけるアイテムにまで広がっている。2010年には、その市場規模は出荷台数3600万台、売上高6億米ドルにまで達するとみられている。
現在、電子ペーパー・ディスプレイの最大の用途は、電子書籍である。ほとんどの電子書籍端末が米E Ink社の電気泳動ディスプレイ技術を採用しているほか、富士通フロンテックの「FLEPia」などコレステリック液晶ディスプレイ技術を採用した端末もある。米SiPix Imaging社やブリヂストンなど、他のメーカーも、電子書籍用ディスプレイの商品化を計画している。
DisplaySearch社によれば、MEMSディスプレイ技術は今後数年の間に、現在の小型携帯電話機向けディスプレイから、カラー表示可能な中型電子書籍ディスプレイにまで用途が広がるという。一方、エレクトロクロミック・ディスプレイは、スマート・ラベルやカード・ディスプレイといった用途をターゲットにする。出荷台数で見ると、2013年までにエレクトロクロミック方式が電子ペーパー・ディスプレイ向けの主要なディスプレイ技術になるとDisplaySearch社は予測している。
DisplaySearch社のディスプレイ技術部門でディレクタを務めるJennifer Colegrove氏は声明の中で、「電子ペーパー・ディスプレイは、消費電力が小さく、日光の当たる場所でも読みやすいことから、消費者の間で人気が高まっている」と述べた。さらに同氏は、「紙の消費量を削減できるため、電子ペーパー・ディスプレイは『グリーン(環境に優しい)』であると言える。電子棚札は、店舗で状況に応じた価格設定を可能とし、時間と人件費の削減につながる」と指摘した。
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