このような充電器を使うことで、電力を『貯める』場所と『使う』場所を切り離せる。太陽電池を実装できるほどの表面積がない小型の機器でも、太陽光や室内光で発電した電力を利用できるようになるという。
太陽誘電は、色素増感太陽電池と薄型のリチウムイオン・キャパシタを組み合わせた充電器の試作品をエレクトロニクスの総合展示会「シーテック ジャパン 2009(CEATEC)」(2009年10月6日〜10日に幕張メッセで開催)で展示した(図1)。これら2つの素子を組み合わせたモジュールとしては世界初だと主張する。
充電器の寸法は151mm×102mm×1mmで、薄板状である。表面に8枚の色素増感太陽電池を実装し、静電容量1.5Fで端子間電圧3.8Vのリチウムイオン・キャパシタを内蔵する。太陽電池の基板にはプラスチック材を用いた。「このような充電器を使うことで、電力を『貯める』場所と『使う』場所を切り離せる。太陽電池を実装できるほどの表面積がない小型の機器でも、太陽光や室内光で発電した電力を利用できるようになる」(太陽誘電の新事業企画推進室新事業企画推進部で次長を務める石田克英氏)という。会場では電動ミニカーと充電器をUSBで接続し、充電後に走行させるデモを見せた。
内蔵の薄型リチウムイオン・キャパシタ「LIC2135F 3R8105」は、太陽誘電と同社の子会社である昭栄エレクトロニクスが開発した。寸法は21mm×35mm×0.45mm。「急速放電が必要ない用途に向けたため、内部抵抗は1.5Ωと大きい」(昭栄エレクトロニクスの開発本部開発部で次長を務める名倉哲氏)。この他、静電容量や寸法、内部抵抗が異なる2品種を展示した(図2)。
「薄型でなおかつパワー密度が要求される用途に向けて内部抵抗が80mΩと小さい、ポリアセンを用いたキャパシタ(図3)も製品化しており、今回リフロー工程に対応した品種を開発した」(同氏)。ポリアセンは、複数のベンゼン環が直線状に縮合した構造を採る炭化水素の総称。アモルファス構造を形成するため、分子の表面以外に分子内部にも電荷を蓄積できる。このため、体積当たりの容量を電気2重層キャパシタよりも高められることが特徴だという。
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