ロームは、色素増感太陽電池の試作品をエレクトロニクスの総合展示会「シーテック ジャパン 2009(CEATEC)」(2009年10月6日〜10日に幕張メッセで開催)で展示した(図1)。色素増感太陽電池は、Si(シリコン)を用いた太陽電池と比較すると、微弱光下での変換効率が高い。このため、屋外よりも室内での利用に向けた動きが盛んである。ロームは蛍光灯下での変換効率を高め、5mm角の素子を用いて3330lxの蛍光灯下での変換効率20.25%を達成した。短絡電流密度(JSC)は0.214mA/cm2、開放電圧(VOC)は0.523Vであるという。
例えば、人感センサーや照度センサーを組み込んだ防犯モニター用の電源や、温度センサーを内蔵する空調モニター用の電源などとして利用でき、室内センサー・ネットワークの実現に役立つという。このほか、ワイヤレス・マウスや携帯電話機、ヘッドホンなど消費電力の小さな機器への実装が考えられるとした。
色素増感太陽電池は、使用する色素を変更することで、多彩な色彩を実現できる。今回の展示では黄色や赤色の色素を使って扇子のイメージを再現したモックアップ品も見せた(図2)。
実際に動作する展示としては、壁掛け時計に組み込んだ試作品(図3)のほか、FeRAM(強誘電体メモリー)を内蔵する不揮発論理回路を用いたカウンタ回路と色素増感太陽電池を組み合わせたデモを展示した(図4)。
太陽光の吸収層にはTiO2(二酸化チタン)を用いた。色素の種類については明らかにしていない。なお、今回の展示は2008年5月にOKIから譲渡を受けた半導体事業(OKIセミコンダクタ)での研究成果を用いたという。
なお、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2009年6月に公開した2050年までの太陽光発電に関するロードマップ「PV2030+」では、2010年時点の太陽光下での変換効率の開発目標を、実用化モジュールでは8%、研究室での小面積セルでは12%としている。
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