3種類の半導体を上下に重ねた化合物3接合型太陽電池の材料を変更し、高い変換効率を実現した。
シャープは、2009年10月22日、化合物半導体を利用し、異種の半導体によるpn接合を3層重ねた太陽電池「化合物3接合型太陽電池」で、変換効率35.8%を達成したと発表した(図1)*1)。非集光型太陽電池では最も高い変換効率であると主張する*2)。試作したセルの外形寸法は10mm×10mmである。
*1)3接合の場合の変換効率の理論上限値は非集光時で39%である。
*2)同社は、2007年12月に4.5mm角の3接合太陽電池で変換効率40%を達成したと発表しているが、これは1100倍集光時の値である。2009年1月にドイツFraunhofer Institutが3接合太陽電池で達成した41.1%という値も、454倍集光時の測定値である。
トップ層には、バンドギャップが広く短い波長の光を吸収するInGaP(インジウム・ガリウム・リン)を用い、ミドル層はGaAs(ガリウム・ヒ素)、波長の長い光を吸収するボトム層にはInGaAsを採用した(図2)。
同社が従来試作していた化合物3接合太陽電池では、製造が容易であることからボトム層にGe(ゲルマニウム)を用いていた。Geは短絡電流密度(ISC)が高いものの、再結合が起こりやすく、取り出し電流が低くなる。そこで今回InGaAsを用いたという。
InGaAsは結晶性が悪いため、結晶性を高める開発を重ねた結果、今回の成果に至ったという。
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