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ARM社が3種類の新プロセッサIPの計画を明らかに、2011年にはIP供与を開始プロセッサ/マイコン ARMマイコン

» 2010年02月03日 17時12分 公開
[Peter Clarke,EE Times]

 英ARM社のCEOを務めるWarren East氏は、同社の2009年1月〜12月の決算説明会で、2010年中にプロセッサIP(Intellectual Property)「Cortex」シリーズの新製品を3種類発表する予定だと明かした(図1)。3種類の新しいIPには、それぞれ「Eagle(ワシ)」と「Heron(サギ)」、「Merlin(コチョウゲンボウ:ハヤブサの一種)」という開発コード名が付けられている。3種類とも、すでに顧客からライセンス契約を得ているという。コアによって時期は異なるが、IPの供与は2010年中か、2011年の早い時期に始めるという。

 Eagleは、同社の高性能プロセッサIP「Cortex-A」シリーズに加わるという。Heronはリアルタイム処理に向けた「Cortex-R」シリーズの新製品になる。そして、Merlinは消費電力の低さが特長の「Cortex-M」シリーズに入るという。

図1 図1 英ARM社のCEOを務めるWarren East氏

 決算説明会の席で新しい3種類のIPについて少し語った後、IPについて詳細な説明を求められたが、East氏は多くを語らなかった。

 East氏は現時点で話せることとして、先行ライセンス契約は獲得できているということと、作業の進行度合いはそれぞれ少しずつ異なるが、3種類のコアが設計の最終段階に入っているということを明かした。

 East氏は、「EagleはCortex-A9に代わって、ARM社としては最高の性能を発揮するプロセッサIPになる。その性能は、Cortex-A9とは一段違うものになるだろう。Eagleは、ARM社としてはかつてないほど性能を追求したIPである」と語った。

 Cortex-A9は、米NVIDIA社が2010年1月7日に発表したプロセッサ「Tegra 2」のコアとして採用された。そして、米Marvell Technology Group社が2010年1月6日に発表したARMアーキテクチャの4コア・プロセッサもCortex-A9を搭載しているのではないかと言われている。

 決算説明会でEast氏が写したスライド画像によると、ARM社はEagleでスマートホンや、携帯型コンピュータ、デジタル・テレビ、通信インフラ設備といった領域を狙うようだ。大まかに言うと、これらの領域向けのプロセッサ市場規模は、年間で30億個ほどになるそうだ。

 Heronでは、自動車のエンジン制御や通信のベースバンド処理、ハードディスク装置のコントローラといった分野を狙う。この分野では100億個のプロセッサが売れると見込める。そして、Merlinは、モーターの回転数制御や工場の製造機器の制御、音声処理といった領域に向ける。ARM社は、この領域向けのマイクロコントローラ市場規模は、年間160億個程度と見ている。同社は、この領域では5%以下のシェアしか持っていない。

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