OESF(Open Embedded Software Foundation、図1)は、2010年3月10日、組み込み機器向けに最適化した「Android」である「Embedded Master」のソース・コードを公開した。
OESFはスマートホン向けOSであるAndroidを基にした組み込みシステム向けOSの開発と普及を目的とした団体であり、2009年3月に発足した。これまでOESFの会員がEmbedded Master 1(EM1)として各種のテストを重ねてきた。
Googleが中心となって推進しているAndroidは、スマートホン向けのOSであり、Linuxとその上で動作するミドルウエアや各種アプリケーション・ソフトウエアもセットになっている。Androidはそのまま組み込み機器に適用することもできるが、今回発表されたEmbedded Masterには組み込み機器開発に向けた5種類の拡張機能が加わっており、より開発の敷居が低くなるという。
Embedded Masterは、2009年10月に公開されたAndroid 1.6を基盤とした。今後、最新バージョンであるAndroid 2.1への対応を進める。今回発表したEmbedded Masterが動作するプロセッサはARMアーキテクチャのプロセッサだけだが、MIPSなど順次対応プロセッサを増やしていくという。
5種類の拡張機能を追加
Embedded Masterに加わった拡張機能は5つある(図2)。(1)IP Phone Extension、(2)Bluetooth Extension、(3)Remote Control Extension、(4)Pointing Device Extension、(5)User Interface Extensionである。
IP Phone Extensionは、スマートホン上でIP電話機能やビデオ通話機能を実装するために必要なSIP(Session Initiation Protocol)スタックやRTP(Real-time Transport Protocol)スタックである。
Androidは従来Bluetoothに標準対応していなかったため、組み込み機器でBluetoothを使う場合は機器の種類に応じたプロトコル(プロファイル)が必要になる。Bluetooth Extensionでは、ワイヤレス操作に必要なHID(Human Interface Device Profile)プロファイルやヘルスケア機器などに必要なSPP(Serial Port Profile)プロファイル、携帯電話機とのファイル交換に必要なOBEX(Object Exchange)プロファイルなどを提供する。
家電製品などにはキーボードなどが装備されていないため、リモコンを使う。AndroidにBluetoothや赤外線リモコンを扱うためのフレームワークを提供するのがRemote Control Extensionである。同様にマウスを備えていない組み込み機器に、ポインティング・デバイス機能を実装する際に役立つフレームワークがPointing Device Extensionだ。User Interface Extensionを使うと、テレビ受像機などにアプリケーション起動用のランチャ画面などのGUIを実装するためのAPIが利用できる。
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