Wolfspeedは2025年6月30日(米国時間)に、米連邦破産法11条の適用を申請したと発表した。同社は、米バイデン前政権で支給が確定している7億5000万米ドルの「CHIPS and Science Act」(CHIPS法)補助金を再建に充てるとされている。
米国Wolfspeedは、2024年に交付が確定したCHIPS and Science Act(CHIPS法)の補助金を活用し、2025年第3四半期に破産状態からの脱却を目指すという。
同社は、2024年10月にバイデン政権からの支給が確定した7億5000万米ドルの「CHIPS and Science Act」(CHIPS法)補助金を受け取る予定だ。この補助金は、同社が米国での炭化ケイ素(SiC)チップ生産を拡大できるよう支援するためのものである。この時の資金提供は、15億米ドルの大規模な融資パッケージの一部であり、米国の投資会社Global Managementが率いるコンソーシアムが残りの7億5000万米ドルを提供するとされていた。
それでも、トランプ政権がCHIPS法補助金を監視する「投資アクセラレーター」を設立したことで、CHIPS法補助金が遅延したり差し止められたりする可能性がある。トランプ政権は、Wolfspeedに補助金を提供するかどうかをまだ決定していないのだ。グローバル戦略企業であるCapstone DCは「CHIPSプログラムは新たな兆しを見せているが、追加資金提供が再開する可能性については、依然として先行き不透明だ」と考えている。
Capstone DCは、2025年5月に米EE Timesに提供したレポートの中で「CHIPS法補助金は、受領資格を有する企業の中でも特にWolfspeedのような企業にとって、重要な資金源になるだろう。同社の7億5000万米ドルの予備的覚書は、現在保留になっている補助金の中でも最高額であるため、最も大きな打撃を受ける可能性がある。またこの補助金は、同社が資本構成を再建できるかどうかにかかっている」と述べている。
CHIPS法補助金を受領する企業は、その補助金を受け取るためにマイルストーンを達成する必要があるが、その詳細はまだ不明だ。
Wolfspeedは2025年6月末に、主要債権者との間で再建支援契約(Restructuring Support Agreement)を締結したと発表している。その債権者の中には、担保付きシニア債(上位債)の97%以上の保有者や、ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)の米国完全子会社、発行済み転換社債の67%以上の債務保有者などが含まれる。
Wolfspeedは再建支援契約に基づき、負債総額を約70%(約46億米ドル)削減し、年間当たりの現金払い利息総額を約60%削減する必要がある。同社はこの合意の下、2025年第3四半期末までには再建プロセスを完了できると見込みだとしている。
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