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» 2010年03月23日 18時49分 公開

ミツミ電機、携帯端末向け次世代放送サービス用アンテナを開発中無線通信技術 アンテナ設計

[前川慎光,EE Times Japan]

 携帯電話機や車載機器などに向けたさまざまなアンテナを手掛けるミツミ電機では、携帯端末向け次世代放送サービスに対応した複合アンテナの開発を進めている。地上アナログ・テレビ放送が2011年11月に停波した後、この空いた周波数帯域を使って提供される携帯端末向け放送サービスに向けたものである。

 もはやすき間が無い

 携帯端末向け次世代放送サービスを受信するには、新たなアンテナを追加する必要がある。ところが、新たなアンテナを載せるスペースが、携帯型端末にはもう残っていない。例えば、携帯電話機はFMラジオ放送やワンセグ放送、RFID、無線LANといったさまざまな無線通信機能を搭載するようになり、新しいアンテナを追加するスペースはもう空いていないのだ。

 さらに、携帯端末向け次世代放送サービスでは、何の工夫もしなければ長いアンテナが必要だという問題もある。携帯端末向け次世代放送サービスは、VHF(Very High Frequency)帯を使う。周波数帯域は、90MHz〜108MHzの「VHF-Lowバンド」と、205MHz〜222MHzの「VHF-Highバンド」の2つである。VHF帯の電磁波は波長(λ)が長いため、携帯電話機に収納できる程度にアンテナを小型化するのが難しい。

 利得や放射効率といったアンテナ特性を高くするには、基本的にはアンテナの寸法をλ/4以上にしなければならない。例えば、周波数が90MHzの電磁波の波長は5m、λ/4は125cmである。このことを無視してアンテナを小型化すると特性が犠牲になり、結果、受信感度が悪くなってしまう。

 そこで、磁性材料を使ってアンテナを小型化し、複数のアンテナを1つにまとめることで、携帯端末に搭載できるアンテナを作ろうというのが同社の考えである。

図1 図1 高周波でも損失が小さい磁性材料を活用することでアンテナを小型化
セラミックで形成した誘電体粒子と磁性粒子を樹脂に混ぜる。その上でこの樹脂中にアンテナ素子を形成する。磁性粒子と誘電体粒子の配合比率を変えることで、誘電率と透磁率を調整可能。

 アンテナの複合化がこれからの取り組み

 2010年2月に開催した同社の技術展示会「MITSUMI SHOW 2010」では、開発中のアンテナの一部を公開した(図1)。現在は、VHF-LowバンドとVHF-Highバンドのそれぞれに対応させた個別のアンテナとなっている。これから、1つのアンテナで、VHF-LowバンドとVHF-Highバンド、ワンセグ放送帯域の3つを受信可能な複合アンテナに発展させていく。

 現在同社では、アンテナ電極の設計の改良を進め、さらに新たな材料技術を組み合わせた開発を進めている。アンテナ電極の設計には、これまでの技術の延長ではなく、VHF帯に合わせた工夫が必要だという。

 アンテナ向け材料としては、磁性粒子を使った磁性材料を活用する。同社は、2009年10月に開催されたエレクトロニクスの総合展示会「CEATEC 2009」で、高周波でも損失が小さい磁性材料を活用することでアンテナの体積を大幅に削減したLTE(Long Term Evolution)通信向けアンテナを展示していた。これと同じ考え方で開発した磁性材料を使う。

 携帯電話機に実装可能な寸法にまで小型化しつつ、狙ったアンテナ特性が得られるよう、今まさに開発を進めているところだという。

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