フィルムを帯電させることで、タッチ・パネルに触れた感触を利用者に与えるデモを東芝情報システムが見せた。既存の機器の回路構成や機構をほぼそのまま使って、実現できることが特長だ。
東芝情報システムは、新しいメカニズムを採用した触感フィードバック技術をiPod touchに適用したデモを、組み込み機器の総合展示会「第13回組込みシステム開発技術展(ESEC 2010、2010年5月12日〜14日)」で披露している(図1)。
フィンランドSenseg社の「E-Sense」と呼ぶ独自技術を使ったもの。フィルムを帯電させることで、タッチ・パネルに触れた感触を利用者に与える。いわば、「ものすごく弱い電気ショック」である。帯電のさせ方を時間的に変えることで、デコボコしているといったさまざま感触を与えることが可能だ。ただ、パネルに触れた位置をフィードバックする処理は施していない。
タッチ・パネルに触れた感触を利用者に与える技術には、圧電素子やモーターを活用したものがある。これに比べて、既存の機器の回路構成や機構をほぼそのまま使って、実現できることが大きな特長だとする。「フィルムなので、機器の筐体のどこにでも張れることがメリット。フィルム電極の引き回しは難しくない」(東芝情報システムの説明員)。KIOSK端末や案内板、ゲーム機、スマートフォンをはじめとした携帯型電子機器に向ける。「ESEC初日は、カーナビの操作に使えないかという反響が強かった」(同説明員)。
展示会では、スマートフォンの両面にフィルムを張ることで、タッチ・パネルに触れると、触れた指だけではなくスマートホンを持っている手のひらに感触を与えるデモを見せていた。要素技術としては確立しており、現在、東芝情報システムがソフトウェア開発のための開発ツール(SDK)の用意を進めている。同社が、Senseg社の触感フィードバック技術に関する展示をするのは、今回が初である(図2)。
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