インターネットに接続して使うインターネットテレビに、にわかに注目が集まってきた。インターネットテレビとは、インターネット上にあるさまざまなコンテンツを視聴可能なテレビのこと。各種の映像コンテンツや、映画、音楽、写真共有サイトに集められた写真、SNSの情報をテレビで楽しむことができる。
米DivX社も、インターネットテレビに熱い視線を注ぐ1社である。「DivX TV」と呼ぶインターネットテレビ向けプラットフォームの提供を開始し(図1)、機器メーカーへの売り込みを続けている。すでに、韓国LG Electronics社がBlu-rayプレーヤとホームシアターシステムに採用することを表明しており、2010年後半にも北米市場向けに発売する見込みだという。
ここでいうプラットフォームとは、コンテンツをやりとりする仕組みと、取り扱うコンテンツ群、インターネットテレビの機能を機器に実装するための開発ツールをひとまとめにしたもの。DivX社が運営するリンクサーバが、映画配信サイトやニュース番組、動画共有サイト、音楽配信サイトといったコンテンツプロバイダーとデジタルテレビの仲介役となる。リンクサーバは、提供するコンテンツの情報や、テレビの画面に表示する案内表示の情報をテレビに配信する。コンテンツそのものは、各プロバイダからインターネットテレビにストリーミングする仕組みである。
DivX TVを採用すると、機器メーカは、各プロバイダーとの契約が不要になる。「プロバイダー70社とすでに契約済み」(同社)。機器の実装に向けて、ソフトウエア開発キット(SDK)を用意している。機器メーカーは、DivX TVという名称を使わずに、自社ブランド名でインターネットテレビのサービスを提供できる。
組み込み機器開発の実績が生きた
DivX社は、映像の圧縮/再生フォーマットである「DivX」を提供していることで知られる。設立当初は一般消費者向けの事業が主だったが、2004年から携帯型機器やデジタル家電などへのライセンス提供を本格的に開始した。また、最近の動きとしてハリウッド映画をDivXフォーマットで提供する取り組みを強化している。
インターネットテレビのプラットフォームを提供するという事業は、上記事業とは大きく異なる。日本オフィスでマーケティングマネージャを務める夏秋朋史氏は、同社には2つの強みがあると説明した。1つは、機器に実装したプロセッサの処理能力に制限があるなかで、より良いユーザーインターフェイスを実現できるノウハウがあること。もう1つは、コンテンツを提供する側(コンテンツプロバイダー)と事業を進めてきた実績があることである。「DivX TVには、画面の案内表示(ナビゲーション)が分かりやすく、操作後のレスポンスが速いという特徴がある」(同社)と主張する。
これまでもインターネットに接続できることを売りにしたテレビはあったものの、「一般消費者や機器メーカーの要求を満たしたものになっていないのが現状だ」(同氏)と説明した。
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