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マイクロソフトがWindows Embedded Compact 7のCTP版提供を開始、搭載タブレットも登場組み込み技術

» 2010年06月04日 17時24分 公開
[笹田仁,EE Times Japan]

 マイクロソフトは2010年6月4日、組み込み機器向けオペレーティングシステム(OS)の新版「Windows Embedded Compact 7」のCTP(Community Technology Preview)版の配布を始めたと発表した。CTP版とは、β版の次の段階のもので、製品版により近づいたものである。Windows Embedded Compact 7の製品版は2010年第4四半期に提供開始の予定。

 Windows Embedded Compact 7は、「Windows Embedded CE」と呼ばれている組み込み機器向けOSの後継となる予定のOS。Windows Embedded CEは、主に携帯型音楽プレーヤーなどの小型の組み込み機器に採用されている。

 Windows Embedded Compact 7の特長は4つ。1つ目は、タッチパネル上でのマルチタッチ操作に対応したことである。二本の指で操作することで画面を拡大縮小させるなど、PC用のWindows 7のように使える。

図1 図1 台湾ASUSTeK Computer社のタブレット型コンピュータ「Eee Pad EP101TC」
Windows Embedded Compact 7を搭載している。ディスプレイは10インチ型。重量は675g。

 2つ目は、米Adobe Systems社のユーザーインターフェイス技術である「Adobe Flash 10.1」に対応したこと。米Google社が運営する動画サイト「YouTube」など、動画のフォーマットとしてFlashを採用している例は多い。携帯型情報機器でもFlashフォーマットの動画が見えるようにしたいという要望に応えたものといえるだろう。Flashへの対応をかたくなに拒否している米Apple社とは対照的な対応だ。

 3つめは、最新のプロセッサアーキテクチャに対応したこと。英ARM社のCortexシリーズが採用する命令セットアーキテクチャ「ARMv7」に対応した。さらに、SMP(Symmetric Multiprocessing)に対応したことで、マルチコアプロセッサの能力を活用できるようになった。

 4つ目はDLNA(Digital Living Network Alliance)の通信機能に対応したことだ。家庭内ネットワークにつながっているハードディスクレコーダーやパソコンが蓄積している動画や音楽をWindows Embedded Compact 7搭載機器で再生できる。

 Windows Embedded Compact 7の製品版はまだ発売になっていないが、台湾ASUSTeK Computer社は、Windows Embedded Compact 7を搭載したタブレット型コンピュータ「Eee Pad EP101TC」(図1)を発表した。Apple社の「iPad」に対抗する製品だ。

 Windows Embedded Compact 7が対応するプロセッサアーキテクチャはARM、MIPS、x86。Windows Embedded CEでは、これに加えてSH-4にも対応していたが、Windows Embedded Compact 7では対応しない。SH-4への対応についてマイクロソフトは、車載情報機器向けOS「Windows Automotive」などで対応していくとしている。

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