米国の市場調査会社であるiSuppli社が、2010年6月4日(現地時間)に発表したところによると、2010年第1四半期のPC世界出荷数は、2009年第1四半期比で22.7%増となる8150万台に達した。2003年に同社がPC市場の追跡調査を開始して以降、対前年同四半期比では最も大きく増加したことになるという。
iSuppli社は、この、出荷数の大幅な増加の背景には、アジア地域のPCメーカーが出荷台数を急速に伸ばしたという事実があるとしている。
iSuppli社のコンピュータプラットフォーム部門で主席アナリストを務めるMatthew Wilkins氏は、2010年第1四半期の全世界におけるPC出荷台数が、2009年第1四半期比で大幅な伸び率を記録したのは、2009年第1四半期の出荷台数が、6550万台という極めて低い水準であったためだと分析した。同氏はまた、「2009年初旬は、経済不況の影響で、一般消費者と企業からの需要が落ち込んだ。2009年第1四半期は、PC市場の歴史の中でも最も低調な時期のひとつとして挙げられるだろう。2010年に入って経済状況が改善するに伴い、PCの売上高も回復した」と述べた。
PC出荷台数上位7社(図1)のうち、対前年比で出荷台数を大きく伸ばしたのは、台湾ASUSTeK Computer社、台湾Acer社である。このほかにも、韓国Samsung Electronics社など、アジアのメーカーが軒並み出荷台数を伸ばしている。
PC出荷台数で世界第2位のAcer社は、2010年第1四半期のPC出荷台数を、2009年第1四半期比で47.1%も増加させた。市場シェアも2009年第1四半期の11.1%から、13.3%に伸ばした。
この結果Acer社は、PC出荷台数世界第1位の米Hewlett-Packard社との差を縮めた。2010年第1四半期のHP社の出荷数は、約1600万台で、2009年第1四半期比でわずか6.3%の増加に留まった。19.6%という市場トップのシェアを確保するには十分だったが、同社は2009年第1四半期には、22%の市場シェアを確保していた。
Wilkins氏は、Acer社は引き続き、主力のノートPC部門から利益を得ているとした。ノートPCは、PC市場の中でも最も急速に成長している分野だ。2010年第1四半期のAcer社のPC出荷台数のうち、ノートPCは80%近くを占めるという。
Wilkins氏は、「PC市場は現在、この市場を長い間支配してきたHewlett-Packard社や米Dell社に代わり、アジア地域のPCメーカーが台頭するという、歴史的な転換期にある。現在エレクトロニクス機器製造分野では、アジア勢が台頭しつつある。、また、中国の消費者の経済状況は向上している。これらの要素は、PC市場での各地域の勢力図の変化に拍車をかけている」と述べた。
米国のPCメーカーの中でも数少ない好調なPCメーカーは米Apple社だ。2010年第1四半期の出荷台数は、2009年第1四半期比で32.4%増となる280万台に達したという。Wilkins氏は、「Apple社の『Macintosh』シリーズは、iPhoneやiPadの絶大な人気によって良いイメージを作ることに成功し、収益を伸ばしている。」と述べた。
2010年第1四半期のデスクトップPC市場の出荷台数は、2008年第2四半期以降初めて、前年同四半期比で増加したものの、その増加率はわずか1%であった。一方で、ノートPC出荷数の増加率は、26.5%にも及んだ。
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