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» 2010年07月02日 17時24分 公開

「変化する消費電流を正確に把握」、アジレントが電池駆動向け直流電源/測定ユニット発売テスト/計測 直流電源/測定ユニット

[前川慎光,EE Times Japan]

 アジレント・テクノロジーは、電池駆動の携帯型機器に向けた直流電源/測定ユニット「Agilent N6781A」と「Agilent N6782A」の販売を開始した(図1)。

 設計開発段階の機器(試作機)や半導体部品の消費電流(電流プロファイル)を解析/評価するためのユニットで、同社の直流電源/アナライザ装置「Agilent N6705B」と組み合わせて使う(図2)。複数系統を出力可能な直流電源や、任意波形発生器、デジタル電圧/電流計、データロガー、オシロスコープといった機能をまとめた使い勝手が得られる。消費電流(突入電流やピーク電流も含む)の測定だけではなく、リップルを重畳させた電源電圧を印加したときの機器/半導体部品の挙動を把握したり、複数の電源系統のオン/オフのシーケンスを設定して消費電力の変化を解析することも可能である。

図1 図1 アジレント・テクノロジーの電池駆動型機器向け直流電源/測定ユニット
このユニットで被測定機器に電力を供給しつつ、そのときの被測定機器の消費電流を測定する。電池の充放電試験にも使える。

 Agilent N6781Aは、電子ブックやPDA、携帯電話機、携帯型音楽プレーヤといった携帯型機器の解析/評価(バッテリー・ドレイン解析)に向ける。一方のAgilent N6782Aは、ファンクションテスト(機能試験)に使う直流電源/測定ユニットで、DC-DCコンバータICやパワー・アンプIC、電源管理モジュール、電源管理ICの設計開発に向ける。

図2 図2 直流電源/アナライザ装置「N6705B」
販売を開始した直流電源/アナライザユニットは、N6705Bと組み合わせて使う。同社従来品にN6705Aがあるが、内部構成や機構設計が異なるため、新たな直流電源/アナライザユニットとは一緒には使えない。

 測定乱れなく測定レンジを自動切り替え

 アジレント・テクノロジーは、これまでも上記のような特徴を持つ直流電源/アナライザ装置を製品化していた。これまでに比べた最大の特長は、シームレスレンジ機能を用意したことである。シームレスレンジ機能とは、測定値の乱れ(グリッジ)や測定タイミングの遅れ(デットタイム)無しに、測定レンジを自動的に切り替えるもの。

 電池駆動機器が待機モードになったときの微小電流から、動作モード時の大電流までの幅広い電流に対応する。具体的には、シームレスレンジ機能に対応する測定レンジは、3Aレンジと100mAレンジ、1mAレンジ(図3)。10μAレンジも用意しており、これは固定レンジである。既存のデジタルマルチメーターにも測定レンジを自動で切り替える「オートレンジ機能」を搭載した機種がある。ただ、レンジの切り替え時には測定値の乱れや測定タイミングの遅れが発生してしまっていると説明した。

 電池駆動の携帯型機器の設計開発に当たって、搭載する機能は増やしつつも、ユーザーの利便性を損ねないために稼働時間を伸ばしたいという要求が強い。この結果、消費電力を削減するための電力管理(パワーマネジメント)の重要度が増している。待機時と動作時で動作モードをきめ細かく変えて、消費電力を抑えているのである。

 ただ、このように複数の動作モードを実装するために、携帯型機器の電流プロファイルを正確に把握するのはそう簡単ではない。動作モードが切り替わるたびに、急激に変化する電流変化をとらえる必要があったからだ。シームレスレンジ機能は、この問題の解決を狙った。

 デジタイザの分解能は18ビットだが、このシームレス電流測定機能を搭載したことで、28ビットのデジタイザを搭載したのと同等の効果が得られるという。デジタイザのサンプル周波数は200kHzである。測定確度は、3Aレンジが±(0.03%+200μA)、100mAレンジが±(0.025%+7μA)、1mAレンジが±(0.025%+80nA)、10μAレンジが±(0.025%+8nA)。従来と同様に、測定レンジを手動で切り替えることもできる。

図3 図3 シームレスレンジ機能のイメージ
測定レンジが自動的に切り替わることで、複数の動作モードを備える携帯型機器の消費電流の変化を正確に把握する。測定レンジが切り替わるとき、グリッジやデットタイムは発生しないとする。

 「単なるオートレンジ機能ではない」

 アジレント・テクノロジーの電子計測本部 マーケティングセンタ エレクトニックインスツルメンツビジネスグループでマーケットディベロップメントマネージャを務める柏木伸之氏は、「直流電源装置やデジタルマルチメーター、オシロスコープを別個に用意して組み合わせ、電流プロファイルの測定や解析をしているユーザーは多い。これでは、測定作業に手間が掛かってしまう。今回の新機種を使ってもらえば、メリットの多さを実感できるはずだ」と説明した。

 これまでは、全体の電流プロファイルの傾向を高い測定レンジで把握し、その上で待機時の消費電流を低い測定レンジで確認するといったように、測定作業を何回かに分ける必要があった。この方法だと、測定作業を繰り返すという手間が掛かることに加え、実際の動作状況下で測定できていることにならないとする。

 電流計での電圧降下をゼロ補正

 過渡応答特性が十分に高く、負荷状態が急速に変化したときにも供給する電圧/電流を安定に保てることも特徴に挙げた。電圧/電流源のほか、固定電圧/電流の電子負荷としても使える。

 測定専用モードを用意しており、電力の供給ポイントと測定ポイントを別に設定したいときに汎用の電圧計/電流計として使える。電流計での電圧降下である「負担電圧(Burden Voltage)」を補正し、0Vに調整する仕組みを、同社の直流電源/アナライザとして初めて搭載した。

 価格は、直流電源/アナライザ(N6705B)が72万8912円、N6781Aが55万8648円、N6782Aが44万6036円。いずれも税抜き価格である。複数の直流電源/アナライザをPCから同時に制御可能な制御/解析ソフトウエア「Agilent 14585A」もある。

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