市場調査会社である米iSuppli社は、無線給電機能を備えた機器の普及予測を発表した。2010年の出荷量は360万台となる見通しだが、2014年には同市場はこの65倍となる約2億3500万台に拡大するという。
iSuppli社は、無線給電機能を備えた機器の出荷台数は2011年に爆発的に増加すると予測する。携帯電話機やノートPC、デジタルカメラなどの電気製品の充電に使っている絡まり合ったコードから、ついにユーザーが解放されるのだ。
図1は、独自の無線給電機能を備えた機器の世界出荷台数のiSuppli社の予測を示している。同社の定義によれば、独自の無線給電機能を備えた機器とは、特定の機器向けに販売されている充電器と「スキン」と呼ばれる無線レシーバを備えた機器を指す。これと対をなすのが、既存の機器に後から装着できる無線給電機器だ。これは、汎用の充電器と複数の家電製品に対応するスキンで構成される製品を指す。
iSuppli社でワイヤレス・リサーチ担当シニア・アナリストを務めるTina Teng氏は、「無線給電機能を備えた機器には多くの課題があり、すぐに広く普及すると期待できるわけではない」としながらも、「2010年にはかなりの台数が出荷される見通しで、それ以降、出荷台数は大きく伸び、急速に普及が進む」と述べている。
Teng氏は、無線給電機能を備えた機器が克服すべき課題について、「メーカー各社が、無線給電機能をプリント基板に組み込む方法を検討する必要がある」と指摘する。同氏は、「無線給電技術の幅広い普及には、コストの低減が不可欠だ」と説いた。
Teng氏は、今後5年間で、無線給電機能を搭載する製品が急増すると予想する。特に、携帯電話機への搭載が増えると同氏は考えている。
iSuppli社によると、現在販売されている機器が採用している無線給電技術の中で、最も広く普及しているのは電磁誘導方式だという。電磁誘導方式では、受電側コイルが発電側コイルから磁束を受けて発生させる電流を利用して機器に給電する。この技術は、半導体ベンダーや機器メーカー、部品メーカー、小売店などから幅広い支持を得ているという。
電磁誘導方式の採用による代表的な成功例が、イスラエルのPowermat社だ。同社は無線給電の商用化を目的に2009年に設立された企業で、米国ミシガン州を拠点とする。iSuppli社によると、2009年の無線給電市場における同社のシェアは62%に上るという。
iSuppli社は、既存の機器に後から装着できる無線給電機器の普及予測も示している。同市場は今後5年間で年平均で133.4%と大幅な成長が見込めると同社は予測している。
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