半導体業界のトップを走る米Intel(インテル)社が2010年8月27日、第3四半期の売上目標を下方修正すると発表した。同社は売上高の予想値を、以前の112億〜120億米ドルから、108億〜112億米ドルへと引き下げた。
同社は下方修正の理由として、一般消費者向けPC市場が成熟し、需要が予想よりも低調になることを挙げている。また、サプライチェーン全体の在庫状況も、修正後の予測と合致しているという。
2010年8月初旬、米国の投資銀行であるJ.P.Morgan社でアナリストを務めるChristopher Danely氏は、Intel社の2010年売上高と収益の予測を下方修正した。台湾のPCサプライチェーンの動向を分析した結果、2010年7月後半に、市場からのPC発注量が急減していることが判明したという。
Danely氏は、2010年8月27日に発行したリポートの中で、企業の業績低迷には3段階あるとし、「Intel社による今回の下方修正は、まだ第1段階に過ぎない」と述べた。
同氏によると、「在庫調整は一般に3段階を経る。第1段階では、半導体企業が売上高予測を下方修正するものの、業績が下降しているとの認識はなく、稼働率を下げたり、支出を削減したりする対策は取らない。第2段階では、半導体企業が業績の低迷を認識して、稼働率の引き下げや支出の削減に踏み切り、底入れ対策を講じる」と説明する。
Danely氏は、2010年第4四半期にIntel社が第2段階に到達するとの見通しを示している。J.P.Morgan社では、Intel社の2010年の売上高を441億米ドル、1株当たりの収益を1.95米ドルと予想していたが、今回のリポートでは売上高を436億米ドル、1株当たりの収益を1.89米ドルへとさらに下方修正した。同氏はさらに、Intel社の12月期目標株価を19米ドルから17米ドルに引き下げた上で、Intel社に対する投資判断は「ニュートラル」になると改めて示した。
季節要因を強調する指摘も
一方、米FBR Capital Markets社でアナリストを務めるCraig Berger氏はリポートの中で、「9月は原則として、世界的にマクロ経済が軟化するため、需要が低下するようだ。その結果、小売店の店頭などでは、市販PCが山積みになっている光景をよく見掛ける。米Hewlett-Packard(HP)社や米Dell社、台湾Acer社では、販売状況に合わせて製造ラインを調整する。Intel社では一般消費者向けPC用半導体の注文キャンセルが発生している状況だろう」と分析する。
Danely氏と同様に、Berger氏もIntel社の売上高予測を下方修正したが、法人向けPCの入れ替え需要や、同社が世界に展開するサーバ事業の強みに助けられ、第3四半期の下降ペースは鈍化すると見ている。「今のところ、半導体価格は堅調に推移している」とも話す。
Intel社株は下方修正の影響を受け、8月27日午後には18.38米ドルで取引された。同社では、第3四半期の決算報告を2010年10月12日に予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.