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【CEATEC 2010】8×8の非接触温度センサーアレイ、パナソニック電工が開発センシング技術 温度センサー

» 2010年10月06日 18時11分 公開
[薩川格広,EE Times Japan]

 パナソニック電工は、サーモパイル型の非接触温度センサー(赤外線センサー)を8×8のマトリクス状に並べたアレイ品「Grid-EYE」を、エレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2010」(2010年10月5日〜9日に幕張メッセで開催)で展示した(図1)。熱源から放射される赤外線を各センサーが検出して非接触で温度を測定することで、アレイ全体では2次元の温度分布を8×8画素で測定できる。現在はまだ開発の段階にあり、製品化は2011年の予定である。一般公開は今回が初めてだという。

図1 図1 パナソニック電工が開発した赤外線温度センサーアレイの構造

 MEMS技術でサーモパイル素子を8×8のアレイ状に作り込んだセンサーチップのほか、集光用のシリコン(Si)レンズや、センサーチップの出力に後処理を施すASICチップ、温度補正用のサーミスタをまとめて、CANパッケージに封止したモジュールである。8×8まで多画素化したことで、「機器や設備のエリア内の温度を検知したり、熱画像認識に基づいて機器をコントロールするといった応用が可能になる」(同社の説明員)。また、人感センサーとして利用すれば、人体が静止していても移動していても検出できる上、移動方向を検知することも可能だという。

 モジュールに内蔵したASICチップは、各サーモパイルが温度差に応じて出力するアナログ電圧を処理し、8×8の画素ごとの温度情報をデジタルデータに変換する役割を担う。外部インタフェースはI2Cを採用した。このモジュールを搭載する機器のホストマイコンは、このデジタルデータをI2C経由で読み出してそのまま利用できる。「機器のコントロール機能の設計が容易になる」(同説明員)。最大10フレーム/秒(1フレームは8×8画素)相当のデータレートで読み出しが可能だ。つまり2次元熱分布の変化を動画として出力できる。読み出したデータに画素間の補間処理などを施せば、高価なサーモグラフィ装置のような温度分布映像を作り出すことも可能だという。

 実際に今回の展示では、可視光カメラで撮影した画像に、センサーアレイモジュールから読み出して画像処理を加えた温度分布映像を重ね合わせることで、サーモグラフィに近い映像を見せていた(図2)。

 モジュールの外形寸法は11.8mm×10.2mm×4.0mm。表面実装に対応しており、リフローはんだ付けでプリント基板に搭載できる。

図2 図2 サーモグラフィに近い温度分布映像も作り出せる
可視光カメラで撮影した画像に、センサーアレイモジュールから読み出して画像処理を加えた温度分布映像を重ね合わせている。

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