富士通研究所は、オフィス機器の消費エネルギー量の可視化に向けた電源タップ「スマートコンセント」を開発し、エレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2010」(2010年10月5日〜9日に幕張メッセで開催)で展示した(図1)。差し込み口ごとの消費電力量を測定し、USBインターフェイス経由で外部に出力する機能を備えた電源タップ(コンセント)である。「オフィスにおいて、業務に応じたエネルギーの使い方を把握するには、分電盤や建屋ごとの比較的マクロな単位で消費電力を把握することに加えて、コンセントというミクロな単位で消費電力をきめ細かく把握することも重要である。そこでこのスマートコンセントを開発した」(同社の説明員)という。
差し込み口ごとに電流センサーを内蔵し、その差し込み口に接続した機器の消費電流を測定して、電圧値を掛け合わせることで消費電力を求める仕組みである。電流センサーはクランプ型を採用した。磁気コアとホール素子を使う一般的な手法である。「電磁界シミュレーションを活用し、高精度の電流センサーを新規に開発した」(同説明員)。最大20Aまで、10mA単位で測定可能だという。
展示では、このスマートコンセントにノートPCやディスプレイ、照明器具などをつないで、それぞれの消費電力をモニターして見せていた(図2)。スマートコンセントとノートPCをUSBで接続し、コンセントで収集した各機器の消費電力の情報をノートPCに送り、ノートPC上のモニター用アプリケーションソフトウエアで消費電力の推移を表示した。
このスマートコンセントの利用形態としては、「コンセントで収集したミクロな電力情報を、クラウドコンピューティング環境に集約し、そこで分析や見える化を行って、省エネ活動に活用するといった利用シーンが想定できる」(同説明員)という。スマートコンセントから消費電力情報を出力するインターフェイスについては、今回の開発品ではUSBを採用したが、電力線通信(PLC)やイーサネットなどを利用する方法もあり得るとしており、「今後、ユーザーの意見を聞きながら検討を進めていく」(同説明員)とコメントした。
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