「IEEE 2030.2」を策定することで、公共電力施設用の送電網用貯蔵システムの開発が進むとみられる。複数の技術を想定しており、二次電池や大容量キャパシタの他、角運動量としてエネルギーを貯蔵するフライホイールや圧縮空気貯蔵も考慮に入れている。
IEEEは、大規模なエネルギー貯蔵システムについてのガイドラインの策定に着手する。特に、多様な技術を使ったハイブリッド型のエネルギー貯蔵システムに焦点を当てる。今回の活動は、スマートグリッド用規格の定義に向けたさまざまな取り組みの一環として、2010年末までに始まる予定だ。
今回の策定を進めるグループである「IEEE 2030」は、スマートグリッドインタフェース用の包括的なガイドライン一式を、2011年初頭には発表できると見込んでいる。ガイドライン「2030.2」を策定することで、公共電力施設用の送電網用貯蔵システムの開発に向けた取り組みが、さらに進展するとみられる。
新しいガイドラインには、二次電池や大容量キャパシタの他、角運動量としてエネルギーを貯蔵するフライホイールや圧縮空気貯蔵といった項目が含まれる。米エネルギー省(DoE:Department of Energy)のNational Renewable Energy Laboratoryでチーフエンジニアを務め、2030グループを率いてきたLabDick DeBlasio氏は「現在、世界中で電力貯蔵についてのプロジェクトが進行中であるものの、先行事例として役立つ成功例は1つもない」と述べた。
だが、DeBlasio氏は「それぞれ弱点がある貯蔵技術を複数組み合わせて、有用なシステムをくみ上げる方法はある」と指摘した。
Kohler Power Systemsの開閉装置システム部門でディレクタを務めるMark Siira氏は、2030.2グループの長を務めることを承諾した。同グループは参加メンバーとして15人〜30人を集める予定で、2年以内に役割を完了する。2010年11月には、1回目の公式ミーティングを開催する運びとなっている。
一方、2009年6月に設立された2030グループは最近、2030.2のドラフト版の作成に当たり、ドラフト版以前の3.1版に対する200件を超える要望を取捨選択するという取り組みを進めている。DeBlasio氏は「ドラフト版の作成は首尾よく進んでおり、2011年2月には投票の準備が整う。われわれの取り組みは、当初の予定通りに進んでいる」と述べた。
2030グループは別途、電気自動車とスマートグリッドの統合に向けたガイドライン「2030.1」のドラフト版作成を進めている。一方、DeBlasio氏は、電力潮流管理用のガイドラインの策定という、独立したビジョンを練っているという。
DeBlasio氏は「これは、私がぜひ次に取り組みたいビジョンだが、行く末は厳しいものになるだろう。電子とは、自由自在に動くものだ。故に、スマートインバータをはじめとした技術が必要になる」と述べた。
現在ガイドラインの策定を協議中の他の分野として、電力負荷管理や、需要側重視の電力供給、そしてビルでのエネルギー利用などが挙げられる。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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