携帯型機器やハイブリッド自動車(HEV)/電気自動車(EV)の普及に伴って、蓄電技術の重要性が高まっている。これを受け、電池技術の開発や電池製造技術のスケーリングが急速に進められている。いまや電池の設計や製造は、新興のエネルギ技術の中でも特に戦略的で競争の激しい分野になっている。
米国では、革新的な2次電池の開発で注目を集めていた新興企業のA123 Systemsが、こうした状況を背景に、北米最大の電池メーカーへと急速な発展を遂げた。2010年9月には北米最大と主張する自動車向けリチウムイオン2次電池の工場を開設した。生産能力は年産600MWh。2011年には年産760MWh以上に製生産能力を増強する予定だ。同社は、米国が戦略的な世界市場で戦う足掛かりとなる重要なエネルギ技術を開発したことで、米国の製造業の復興に向けて最も期待される企業の1つに数えられるまでになった。A123 Systemsの共同創設者であり、最高技術責任者(CTO)を務めるBart Riley氏は、「当社の目標は、(電池の)完全なエコシステムを形成することだ」と述べている。
一方、中国では、政府が電池産業のインフラ整備に巨額の投資を行っている。中国の電気自動車産業はまだ始まったばかりだが、将来的には、電池産業の安定した顧客となると予想される。さらに、需要の拡大を受け大量生産に対応する中で、現時点では比較的経験の浅い中国の電池メーカーの技術が磨かれていくと期待されている。
日本では、携帯型機器の爆発的な普及に伴って、電池にさまざまな形状と長い寿命が求められるようになり、それに応える形で電池技術の開発が進んできた。ハイブリッド自動車や電気自動車の立ち上がりも電池技術の開発を後押しする原動力になっている。日本の隣に位置し、産業におけるライバルである韓国も、電池の設計や製造技術の研究開発に力を入れている。韓国でも、今後は電気自動車が電池の主な需要家になるとみられている。
次世代電池技術における世界の競争についてさらに詳しくは、米EE Timesが新たに刊行した有料定期購読誌「EE Times Confidential」で伝えている。EE Times Confidentialには、世界の電池メーカーの幹部リストも掲載した。
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