ルネサス エレクトロニクスは、R-D(レゾルバ-デジタル)コンバータ回路を集積した32ビットマイコンを開発し、「第3回 国際 カーエレクトロニクス技術展(カーエレ JAPAN)」(2011年1月19日〜21日に東京ビッグサイトで開催)に出品した。
ルネサス エレクトロニクスは、R-D(レゾルバ-デジタル)コンバータ回路を集積した32ビットマイコンを開発し、「第3回 国際 カーエレクトロニクス技術展(カーエレ JAPAN)」(2011年1月19日〜21日に東京ビッグサイトで開催)に出品した。ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)に搭載するインバータの制御に向ける。
ルネサスによれば、従来は単体ICとして市販されているR-DコンバータICをマイコンに外付けする必要があった。今回これをマイコンチップに集積したことで、「基板実装面積や部品点数を削減できるほか、インバータ制御部全体の消費電力も低減できる」(同社の説明員)という。ただし、現在はまだ開発の段階であり、パッケージ寸法や消費電力の具体的な仕様値は定まっていないと説明している。
集積したR-Dコンバータ回路は、制御用センサーなどを手掛ける多摩川精機と共同開発したもの。多摩川精機が従来から単体ICとして販売していたR-Dコンバータ「AU6802N1」を基に、性能を高める改良を施した上で、マイコンチップに集積した。「R-Dコンバータが追従可能なモーターの回転速度を2倍に高めた」(ルネサスの説明員)という。ただし具体的な数値は示していない。
CPUコアは「SH-2A」。最大動作周波数は160MHzである。「車載分野で実績があるコアを採用した」(同社の説明員)という。この他、モーター制御に必要な機能も周辺回路として集積した。モーター制御信号の生成に使う3相PWMタイマーや、モーター電流の測定に用いる12ビット分解能のA-D変換器である。さらに、ホストコントローラとの通信に使うCANインターフェイスも搭載した。768Kバイトのフラッシュメモリと、96KバイトのRAMも内蔵する。
展示ではこのマイコンを使って、レゾルバ付きモーターを実際に制御してみせていた(図1)。ノートPCとマイコン基板をCANインターフェイスでつなぎ、PC上で設定したモーターの回転数をマイコンに送る。マイコンは、モーターのレゾルバ出力をR-Dコンバータ回路で読み取ってデジタルデータに変換し、それを基にCPUコアで制御量を計算する。そして、PWMタイマーを介して3相の制御信号をプリドライバ基板に供給する仕組みである。
ルネサス エレクトロニクスは今後、この開発品の信頼性評価などを進め、2013年の量産化を目指す。価格については、現時点では不明だという。
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