ルネサス モバイルは、「LTE」と「HSPA+」、「GSM」という3つの通信方式に対応した無線モデムプラットフォーム「SP2531」を開発し、2011年3月にサンプル出荷を始める。
ルネサス モバイルは、「LTE」と「HSPA+」、「GSM」という3つの通信方式に対応した無線モデムプラットフォーム「SP2531」を開発し、2011年3月にサンプル出荷を始める。
同社は、ルネサス エレクトロニクスのモバイルマルチメディア事業と、ノキアのワイヤレスモデム事業が統合し、2010年12月に誕生した。今回発表したトリプルモードの無線モデムプラットフォームは、ルネサスモバイルにとって初の製品である。
プラットフォームの構成は、LTE、HSPA+、GSMに対応したベースバンドプロセッサとモデムソフトウエア、高周波(RF)トランシーバIC、無線通信用パワーアンプIC、電源ICである。「世界200カ国以上で接続実績のあるノキアのベースバンドプロセッサ/モデムソフトウエア技術と、ルネサス エレクトロニクスの既存ハードウエア技術を融合させた」(ルネサス モバイルの代表取締役社長である川崎郁也氏)。

写真左は、ルネサス モバイルの代表取締役社長である川崎郁也氏。右は、ルネサス モバイルのトリプルモードの無線モデムプラットフォームの参照設計である。ベースバンドプロセッサとモデムソフトウエア、高周波(RF)トランシーバIC、無線通信用パワーアンプIC、電源ICで構成している。参照設計の面積は、900mm2(基板片面に各チップを平置きにしたとき)。写真の参照設計は、基板の両面に実装してある。チップの寸法は、ベースバンドプロセッサが8mm角、RFトランシーバICが7mm角である。1つのRFトランシーバICで、「LTE」と「HSPA+」、「GSM」という3つの方式に対応した。ルネサス モバイルは、携帯電話機やスマートフォン、データ通信端末に加え、コンバージェンス市場を対象市場に位置付ける。同社がいうコンバージェンス市場とは、カーナビ、ネットブック、ゲーム機、デジタルカメラ、電子書籍などを指す。
川崎氏は、「無線の高速化によって、モバイル機器がクラウド化する」という言葉を使いながら、さまざまなモバイル機器にとって、無線通信機能が重要な機能になると説明した。「今後、携帯電話機やスマートフォンのみならず、コンバージェンス市場のさまざまなモバイル機器に、無線通信機能が搭載されていく」(同氏)。
そこで同社では、無線機器の設計に慣れてない顧客に向けた支援も強化する。具体的には、参照設計の提供に加え、ノキアのワイヤレスモデム事業部門出身の経験豊富なエンジニアによりコンサルティングサービスも提供する。
LTE通信時のデータ転送速度は、ダウンリンク時に100Mビット/秒、アップリンク時に50Mビット/秒。プラットフォームのサンプル価格は、50米ドル。モデムプラットフォームのみならず、アプリケーションプロセッサも統合し、提供することを計画している。
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