TSMCの製造子会社であるJASM 社長の堀田祐一氏は「SEMICON Japan 2025」内のセミナープログラム「世界に貢献する日本の先端半導体戦略」に登壇。熊本工場の現状や環境保全の取り組みについて語った。
TSMCの製造子会社であるJASM 社長の堀田祐一氏は「SEMICON Japan 2025」(2025年12月17〜19日、東京ビッグサイト)内のセミナープログラム「世界に貢献する日本の先端半導体戦略」に登壇。熊本工場の現状や環境保全の取り組みについて語った。
JASMは2021年12月の設立後、2022年4月から第1工場の建設を開始し、2024年2月には同工場の開所式を実施した。同年12月からは量産を行っている。熊本第1工場について、堀田氏は「歩留まり、品質、サイクルタイムは非常に良好で、台湾の工場に負けないレベルで操業できている」とした。
熊本第2工場の建設も発表し、2025年10月に熊本県菊陽町と立地協定を締結した。堀田氏は「いろいろな報道はあるが、TSMCの日本におけるプロジェクトは継続的に進行している。現在、建設作業の詳細や実行計画についてパートナー企業と協議しているところだ」と説明した。
JASMは、ものづくりによる環境負荷を低減する「グリーン・マニュファクチャリング」にも注力している。堀田氏は「JASMは設立以来、地元である熊本の良き隣人となるべく事業活動を行っている」と述べた。JASMはグリーン・マニュファクチャリングの注力分野として「エネルギー管理」「廃棄物の管理」「水資源の管理」「温室効果ガスの削減」の4つを挙げている。
リサイクルにも重点を置いていて、2024年の廃棄物リサイクル率は95%に達したという。これに貢献したのは、廃現像液の回収システム構築だ。現像液に用いられる水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)は毒性が高く水に溶けやすいので、環境への負荷が大きい。TSMC熊本工場では現像液廃水に含まれるTMAHを吸着/回収する技術を導入していて、回収後は半導体製造やその他の産業で再利用できる。これは、日本では初めての導入事例だという。堀田氏は「環境負荷を減らせるうえに、廃水から有価物を回収できる、一石二鳥の取り組みだ」と述べた。
リサイクル率向上には、これに加えて、廃フッ化水素酸の有効活用も大きな影響があったという。従来、廃フッ化水素酸は中和作業を行ってセメント原料として再利用していたが、JASMはガラスエッチングメーカーと協業し、そのままガラス洗浄用材料として再利用するプロセスを確立した。この方法では材料特性を生かしながら、中和剤も不要となる。
地下水の保全も重視する。水の利用を抑えるためにリサイクルも徹底して行っていて、水リサイクル率は75%にのぼるという。堀田氏は「TSMCの長年の経験とノウハウを生かして、業界をリードする水管理の仕組みを導入している」と述べる。JASMでは地元住民向けのセミナーも開催し、理解を促進している。参加者からは前向きな反応があったといい、今後も同様の機会を設ける予定だ。
堀田氏は「JASMは最高水準の半導体製造を実現し、持続可能な環境と地域社会の発展に貢献する。半導体工場の進出で懸念される問題にも取り組んでいく」とした。
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