現在各社が量産している太陽電池モジュールは、軽量化を目指していない。一般住宅の屋根に設置する場合や太陽光発電所、工場などに設置する平置き型の品種では重量が問題になりにくいためだ。しかし、建材と一体化したときは軽量化が要求される。例えばビルの壁面全体を太陽電池として使う場合だ。
三菱化学と三菱樹脂は2010年2月28日、建材一体型太陽電池モジュール「アルポリックh/ジオア(ALPOLIC/gioa)」を開発したと発表した(図1)。2011年4月に販売を開始し、2011年11月に出荷を開始する。薄膜Si(シリコン)太陽電池と剛性の高いアルミニウム樹脂複合版「アルポリック」を組み合わせて、建物用の軽量な外装材として仕上げた。
現在各社が量産している太陽電池モジュールは、軽量化を目指していない。一般住宅の屋根に設置する場合や太陽光発電所、工場などに設置する平置き型の品種では重量が問題になりにくいためだ。しかし、建材と一体化したときは軽量化が要求される。例えばビルの壁面全体を太陽電池として使う場合だ。
従来の多結晶Si太陽電池は約10kg/m2と重かったため、外装材としては使いにくかった。アルポリック/ジオアは6.8kg/m2と軽量である。樹脂心材の両面にアルミニウム板を張り合わせて一体化した3層構造の複合板であり、ある程度の曲面加工性がありながら、剛性も高い。なお、太陽電池を含まない品種は各種建物の外装材として年間出荷量が1000万m2に達するという。
三菱化学は2010年4月に、屋根用防水シートに使われるオレフィン系高耐久性樹脂で薄膜Si太陽電池を挟んだ「ジオアシートPV」の出荷を開始している(関連記事「三菱化学が1m角で3kgと軽い建材一体型太陽電池を開発」)。ジオアシートPVは3kg/m2と軽量だが、2.7mmと薄く、壁面材として利用するための剛性はなかった。ジオアシートPVは大面積の屋根にかぶせる施工などに用いられている。
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