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ISSCC 2011の注目技術(中編) 〜 プラスチックプロセッサなどプロセッサ/マイコン フォトギャラリー

米国のサンフランシスコで2011年2月20日〜24日に開催された半導体回路技術の国際学会「ISSCC 2011」。本稿は、ISSCC 2011における発表の中から、12の技術を写真とともに紹介するフォトギャラリーの中編である。

» 2011年03月04日 20時39分 公開
[Rick Merritt,EE Times]

 米国のサンフランシスコで2011年2月20日〜24日に開催された半導体回路技術の国際学会「ISSCC(IEEE International Solid-State Circuits Conference) 2011」。本稿は、ISSCC 2011における発表の中から、12の技術を写真とともに紹介するフォトギャラリーの中編である。なお写真のほとんどは、今回のISSCCから新たに設けられた実演イベント「Industrial Demo Session」で撮影したものだ。

プラスチックプロセッサが登場

 ベルギーの研究開発機関IMECの研究者であるKris Myny氏は、8ビットのプラスチックプロセッサを披露した。Myny氏は、プラスチック基板上に設計したプロセッサは、これが初めてだと主張する(EE Times Japan注:エプソンは2005年2月に開催された「ISSCC 2005」で、薄いプラスチック基板の上に低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(LTPS TFT)技術で作製した8ビットマイクロプロセッサについて発表している。同社ウェブサイトの参考記事はこちら)。「高度な有機ロジックデバイスの実現に向けた扉を開く成果だが、同時にまた、この分野の技術がまだ初期段階にあることも示している」。Myny氏は開発したチップを、インテルが1971年に業界で初めて製品化したプロセッサ「Intel 4004」に例えて、冗談混じりにこう語った。

 Myny氏の今回の論文は、有機エレクトロニクスに関するセッションで発表された。同セッションではこの他に、DRAMや、薄膜上にp型とn型の両方のトランジスタを使うCMOS回路を印刷する新しいプロセス技術など、3つの論文が発表された。

無線HDテレビを実現するチップセット

 SiBEAMは、2010年5月に発表した、60GHz帯を利用してHDテレビ信号を非圧縮で送信するチップセットを披露した。このチップセットは2個のチップからなり、60GHz帯の無線通信規格を推進する業界団体「WirelessHD Consortium」と「Wireless Gigabit(WiGig)Alliance」が策定した2つの規格に準拠している。SiBEAMはこのうち、WirelessHDの策定に参加している。SiBEAMは今回、このチップセットを使ってノートPCからHDテレビへHD映像を送信してみせた。

エネルギーハーベストを活用するマイコン

 テキサス・ インスツルメンツ(TI)の設計エンジニアであるMichael Zwerg氏は、16KバイトのFeRAM(強誘電体メモリー)を集積する16ビットマイコンを発表した。このチップはエネルギーハーベスト素子と組み合わせて使うことを想定して設計されている。FeRAMは、エネルギーハーベスト素子が任意のタイミングで生成した電流をいつでも蓄えられるからだ。これはFeRAMが他のメモリとは異なり、チャージポンプを使わなくてもメモリを使用可能な状態できるからである。

ネックレスのように装着できる医療用トランシーバ

 ベルギーの研究機関であるIMECは、人体無線網(BAN:Body Area Network)用のハブ装置を発表した。この装置はネックレスの形をしており、IMECが開発した2.4GHz帯無線トランシーバを搭載している。この無線トランシーバは消費電力が850μWと小さい。このチップで、もともと搭載されていたノルウェーのNordic Semiconductorが市販する無線トランシーバを置き換えている。

 この装置は、センサーと連携してユーザーの健康データを記録する。記録したデータは、フィットネスや医療のアプリケーションで使える。この装置の次期バージョンには、IMECがNXP Semiconductorsと共同で開発を進めている、NXPの「CoolFlux」チップをベースとした生体医学プロセッサが搭載される見込みだ。

 なおISSCC 2011は、そのメインテーマとして、「Electronics for Healthy Living(健康的な生活のためのエレクトロニクス)」を掲げていた。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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