FPGA大手ベンダーのザイリンクスは2011年3月8日(米国時間)、FPGA統合開発環境である「ISE Design Suite」の最新版「ISE Design Suite 13」を発売した。
FPGA大手ベンダーのザイリンクスは2011年3月8日(米国時間)、FPGA統合開発環境である「ISE Design Suite」の最新版「ISE Design Suite 13」を発売した。本バージョンでは、現行FPGAの「Spartan-6」と「Virtex-6」に加えて次期FPGAである「7シリーズ」にも対応するプラグアンドプレイIPなど、生産性の向上をもたらすさまざまな機能強化が盛り込まれた。
ISE Design Suite 13は、検証作業を効率化した他、IPコアの記述規格「IP-XACT」に対応したプラグアンドプレイIPや新しいチーム設計手法を追加し、設計サイクルを短縮しながら、複数のエンジニアが並行して作業を行ってもタイミングの再現性を実現できるようにした。
ISE 13の機能のうち、ザイリンクスが特に強調するのは検証作業の効率化だ。新しいハードウエア協調シミュレーション機能や広帯域幅のインターコネクト規格「AMBA-4」の「Advanced eXtensible Interface(AXI4)」プロトコルに対応したバス機能シミュレーションモデルによって検証作業の効率化を実現した。現在、検証作業は設計サイクルの半分以上を占めるとされている。ザイリンクスの開発ボードやキット、ISE Simulatorを使用すると、これまで数時間を要していたシミュレーション作業が数分で済むようになるという。また、リアルタイムシミュレーションでは、開発中のブロックはそのままにした状態で、実装済みのブロックのみをテストすることができる。これによって、従来のシミュレーションと比較して、検証作業を100倍高速化できるという。
ISE 13のもう1つの新しい点は、チーム設計手法だ。複数の開発グループが並行して作業を進められる設計手法を提供し、1つのプロジェクトに複数のエンジニアが取り組む際の課題に対応している。新しいチーム設計フローは、ISE Design Suite 12で導入されたデザインプリザベーション機能を基本としているが、ISE 13ではさらに機能性が改善され、設計が完成した部分を、残りの部分の完成を待たずに先に実装して確定させることができる。
ISE 13は、ザイリンクスの「プラグ アンド プレイ イニシアチブ」に沿った新しいオープンスタンダードを実現し、ザイリンクスおよびサードパーティ製のIPによる開発の簡略化や設計期間の短縮を可能にしたという。今回のリリースでは、新たにAXIインターコネクトの環境設定オプションが追加されたが、このAXI4インターコネクトを使って接続すればシリコンフットプリントを50%削減できるという。
この他、ISE 13は新たに「Documentation Navigator」ツールを搭載し、ドキュメント管理における表示や検索、ダウンロードなどの作業を効率化した。Documentation Navigatorは、ザイリンクスの各種FPGAやソフトウエア、ボード、ターゲットリファレンスデザインなどのドキュメントを1つの使いやすい環境にまとめるツールで、ザイリンクスのウェブサイトから無償でダウンロードできる。
EDAツールベンダーのシノプシスとメンター・グラフィックスはそれぞれ、ISE 13のサポートを発表している。シノプシスは、FPGA合成ツールの「Synplify」と高レベル合成ツール「Synphony」でISE 13をサポートする。メンターは、同社の合成ツール「Precision」とISE 13を連携させてザイリンクスの7シリーズFPGAをサポートするという。
ISE Design Suite 13 はすでに全エディションの出荷を開始しており、価格は「Logic Edition」が2995米ドルから。OSについては、Windows 7の32ビット版および64ビット版も両方サポートしている。フル機能を30日間利用できる無償の評価版を、ザイリンクスのウェブサイトで入手可能である。
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