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アバゴの小型反射型エンコーダ、絶対位置の検出で高精度制御が可能電子部品 エンコーダ

アバゴ・テクノロジーが発売した反射型エンコーダ「AEDR-8500」は、小型であることに加え、3チャネルのデジタル出力に対応したことと、逓倍(ていばい)回路を搭載したことが特徴だ。

» 2011年03月17日 00時00分 公開
[前川慎光,EE Times Japan]

 アバゴ・テクノロジーは、外形寸法が3.95mm×3.4mm×0.95mmと小さい反射型エンコーダ「AEDR-8500」を発売した(図1)。

 一般に、反射型エンコーダは、LED素子や受光ICなどで構成しており、モーターの回転方向や回転速度の検出に使われている(図2)。新たに発売したAEDR-8500は、小型であることに加え、3チャネルのデジタル出力に対応したことと、逓倍(ていばい)回路を搭載したことが特徴である。外付け部品は、LED素子の電流制御用抵抗が、1つだけでよい。「3チャネルのデジタル出力に対応し、逓倍回路を搭載した反射型エンコーダは、業界初」(同社)という。

図1 図1 アバゴ・テクノロジーの反射型エンコーダ「AEDR-8500」 外形寸法が3.95mm×3.4mm×0.95mmと小型であることや、インデックス信号(原点信号)を出力できること、逓倍(ていばい)回路を内蔵しており、検出位置の分解能を容易に高められることが特徴。

 従来は、モーターの回転方向や回転速度を、2チャネルのデジタル信号によって検出するのが一般的だった。これに対してAEDR-8500では、インデックス信号(原点信号)を加えた、合計3チャネルのデジタル信号を出力する(図3)。これによって、モーターの回転する方向や回転の速度の検出だけではなく、回転位置の情報を得られることになる。「相対位置ではなく、原点を基準にした絶対位置を使った高精度のモーター制御が可能になる」(同社)という。インデックス信号のパルス幅は、一周期を360度としたとき、90度または、180度、360度のうち、いずれかを選べる。

図2 図2 エンコーダの役割や仕組み エンコーダを使って、モーターの回転方向や回転速度を検出する。2チャネルのデジタル信号の立ち上がりシーケンスによって回転方向を判別し、デジタル信号のパルスの時間間隔の情報から回転速度が分かる。AEDR-8500は、インデックス信号(原点信号)を出力できるため、絶対位置を使った高精度のモーター制御が可能になる。
図3(a)図3(b) 図3 AEDR-8500のデモ基板と出力波形 図左の(a)はAEDR-8500のデモ基板、図右の(b)は出力波形。(b)の上から3つ目のラインがインデックス信号(原点信号)である。

 また、逓倍回路を内蔵したことで、検出位置の分解能を容易に高められる(図4図5)。基本の位置分解能は、304LPI(Line Per Inch)。2逓倍時の位置分解能は608LPI、4逓倍時は1216LPIに高まる。位置分解能を変えるとき、ハードウエアの変更は不要で、専用端子のロジックの高低を設定するだけでよい。

図4 図4 アナログ信号の逓倍回路を内蔵し、位置分解能を向上 従来は外付けする必要があった、逓倍回路を内蔵した。

取り付け自由度が高い

 AEDR-8500を使えば、従来の2チャネル出力のエンコーダに必要だったのと同じ実装スペースに、3チャネル出力のAEDR-8500を実装できる。アバゴ・テクノロジーでは、設置時の取り付け自由度が高いことも訴求する。エンコーダのLED素子からの光を反射させる「コードホイール」とエンコーダの間のスペース(動作位置範囲)は、0.5mm〜1.0mmと広い。「実力値としては、1.0mm以上のスペースでも使える」(同社)という。

図5 図5 AEDR-8500を使ったエンコーダの設計例エンコーダのLED素子からの光を反射させる「コードホイール」とAEDR-8500をうまく組み合わせることで、所望の分解能のエンコーダを構成できる。

 主な用途は、デジタルカメラや携帯電話機のカメラ、プリンタ、複写機、CD/DVDドライブ、監視カメラ、車いす、医療機器など。電源は、5V単一。動作温度範囲は、−20℃〜85℃。すでにサンプル出荷を始めており、サンプル価格は1070円。2011年4月に量産出荷を始める予定である。

 「5年以上もの開発期間を掛け、AEDR-8500の製品化に取り組んできた。これまで、小型の反射型エンコーダ単体で、インデックス信号を生成するのは難しいとされてきた。これを実現したAEDR-8500は、画期的なエンコーダ製品だと考えている」(同社)という。エンコーダの方式には、反射型以外にも、「光学透過型」と呼ぶ方式もある。小型/薄型化という観点で、反射型エンコーダが有利である。

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