IHS iSuppliによると、日本国内の電子コンパスの大手ベンダー4社はいずれも、2011年3月11日に日本を襲った巨大地震による被害を受けなかったという。
電子コンパスICの97%は日本で製造されており、市場シェアの第1位〜4位を日本企業が占める。市場調査会社である米国のIHS iSuppliによると、これら4社はいずれも、2011年3月11日に日本を襲った巨大地震による被害を受けなかったという。
電子コンパスの世界トップ4は、旭化成エレクトロニクス(AKM)とヤマハ、愛知製鋼、アルプス電気で、いずれも日本のメーカーだ。
ただし、スマートフォンやタブレットPCなどのコンピュータ機器への搭載が増えたことから、電子コンパス市場は急速に拡大しており、地震による被害が無かったとはいえ、今後供給が制限される可能性も考えられる。
2010年の電子コンパスの世界需要は2億6300万個に上り、2009年の5800万個から354%も増加した。IHS iSuppliは、2015年には出荷数量が12億8000万個に達すると予測する。
IHS iSuppliでMEMS/センサー部門担当ディレクター兼主席アナリストを務めるJeremie Bouchaud氏は、「電子コンパスはGPS機能を備えたタブレットや携帯電話機に標準装備される部品で、需要が急増している。アップルの『iPhone 3』や『iPhone 4』の他、Androidフォンのほぼすべての機種に搭載されている。さらに、マイクロソフトのスマートフォン用OS『Windows Mobile 7』を搭載するデバイスでは搭載が必須となる。ゲーム分野でも電子コンパスの需要が見込まれる。ソニーは、PlayStation用モーションコントローラの他にも、近く発売予定の「PlayStation Portable(PSP) 2」に搭載するとみられる」と述べている。
電子コンパス第1位のAKMは主要工場を震源地から遠く離れた九州に構えており、今回の巨大地震による被害は無いという。同工場では、アップルの「iPad 2」に向けた電子コンパスを製造している。
市場シェア第2位のヤマハの電子コンパス製造工場も地震による被害は無く、停電にも遭遇していないという。電子コンパス第3位の愛知製鋼は、愛知県にある電子コンパス工場で操業している。同工場も地震による被害は無く、出荷の遅れも無いという。同市場第4位のアルプス電気の工場は震源地に比較的近い新潟県長岡にあるが、通常の操業を続けているという。
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