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エアーフローセンサーの供給不足、世界の自動車メーカーに影響ビジネスニュース 震災復興

IHS Automotiveによると、自動車業界は日本国内だけでなく世界的に、吸入空気量を測定するエアーフローセンサーの供給不足の影響を受けているという。

» 2011年03月30日 00時00分 公開
[Peter Clarke,EE Times Europe]

 自動車業界専門の調査会社である米国のIHS Automotiveによると、自動車業界は日本国内だけでなく世界的に、吸入空気量を測定するエアーフローセンサーの供給不足の影響を受けているという。同社のアナリストは、自動車の生産台数が今後数週間のうちに、日本国内で減少するにとどまらず、世界各地で著しく低下すると指摘した。

 世界の自動車生産台数は、今後、6週間以内に30%落ち込む見込みだ。2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震と津波によって、自動車メーカー各社が直面しているさまざまな困難のうちの1つである。

 エアーフローセンサーの供給に大きく影響が及んだのは、茨城県にある日立オートモティブシステムズの佐和事業所が、今回の大地震と津波による被害を受けたためだ。IHS Automotiveによれば、日立オートモティブシステムズは、世界のエアーフローセンサー市場の約60%を製造しており、フォードやゼネラルモーターズ(GM)、ルノー日産、トヨタ自動車、フォルクスワーゲンなど、大手自動車メーカー各社に供給している。

 日本国内の自動車メーカーは、自動車の生産を再開することが困難な状況にある。汎用部品が供給不足であるうえ、計画停電による影響が工場に及んでいるからだ。IHS Automotiveによれば、地震の発生後、自動車工場の一部は直ちに生産を再開したが、現在は生産規模を縮小しているという。スズキや三菱自動車工業、トヨタ自動車、いすゞ自動車など、日本の全ての大手自動車メーカーに影響が及んでいる。

 IHS Automotiveによると、供給不足による影響は、既に世界の自動車メーカーにも及び、2011年4月半ばまでにはさらに深刻な状況に陥る見込みだという。日本で製造される部品の供給が遅れていることから、多くの自動車メーカーは、生産を調整している。プラスチック部品やゴム部品、電子部品も不足する見込みであるため、GMとPSA Peugeot Citroenはいずれも、生産台数を削減する計画を発表し、既に米国や欧州で実施しているという。

EE Times Japan編集部注釈:日立オートモティブシステムズのWebサイトによると、エアーフローセンサーの生産は、2011年4月4日の週に震災前の稼働状態に戻る見込み。また、日本国内の自動車メーカーも、自動車の生産を一部再開している。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】



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