電気自動車や太陽光発電の高性能高効率化を進めるためにはSiCパワー半導体が役立つ。注目を集めるSiC基板でどの企業が強い特許を保有しているのか、パテントリザルトが分析した。
特許分析ソフトウェアなどを開発するパテントリザルトは、2011年4月12日、特許ごとの注目度を重み付けして点数化する同社のパテントスコア技術を適用し、SiC(炭化ケイ素)基板の特許について関連企業を評価した。
SiCは、半導体としての物性がSi(シリコン)に比べて優れており、SiC基板を使うことで小型で効率の高いパワー半導体を製造できる。2010年から2011年にかけて、電気自動車や太陽光発電用パワーコンディショナなどに向けた素子の製品化が始まっている。
同社によれば、SiC基板の特許総合力に優れた5つの企業は、上位から順に、デンソー、米国のCree、新日本製鉄、豊田中央研究所、住友電気工業だという(図1)。
同社の評価軸は市場における特許の注目度(同社が言うパテントスコア)だ。例えば、出願した企業が権利化に対して意欲が高いことや、特許審査官の引用が多いこと、競合会社からの無効審判を跳ね返した実績があることなどが高スコアにつながる。
パテントリザルトの分析によれば、上位3社はバルクSiC基板に関する特許が多い。例えば1位のデンソーは豊田中央研究所との共同出願である単結晶のa面成長に関する特許が強く、2位のCreeは結晶の欠陥密度規定に関する特許などの評価が高いという。デンソーとCreeはエピタキシャル基板についても強い特許を持っていると判定した。3位の新日本製鉄の特許はSiCインゴットに関する評価が高い。
4位の豊田中央研究所は、集計対象となった全ての特許がデンソーとの共願であり、5位の住友電気工業は子会社の日新電機の特許を含めて計算すると4位に浮上するという。
この他、ロームが買収したドイツのSiCrystalや米国のII-IV(ツーシックス)、スウェーデンのNorstelなどの評価が高いという。
パテントリザルトは、今回の分析について詳細にまとめたリポート資料を販売している。
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