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TSMCのCEOが語る半導体産業の明日ビジネスニュース 業界動向

TSMCへの震災の影響は軽微だが、半導体産業全体に与える影響は大きいという。

» 2011年04月19日 13時08分 公開
[Mark LaPedus,EE Times]

 半導体ファウンドリ大手のTSMCが、2011年4月に米国カリフォルニア州サンノゼで開催した「TSMC 2011 Technology Symposium」では同社の会長兼CEOであるMorris Chang氏が基調講演に登壇し、幾つかのテーマについて見解を示した。

 Chang氏が講演中に言及したテーマのうち、主要な7項目を紹介する。

1)東日本大震災のTSMCへの影響は軽微

 2011年3月に日本で発生した地震による影響について、Change氏は、「当初は多くの対応に追われたが、一定の対応が完了した現在では特に目立った影響はない」とした。一方で、顧客のサプライチェーンが地震による多大なる影響を受けたという。

 その結果、「2011年第2四半期か、もしくは第3四半期に、(TSMCの事業に)いくらかの影響」を及ぼすが、こうした影響は「1四半期間だけの一時的なもの」であり、「2四半期続くことはない」とChang氏は分析した。

2)半導体業界の動向予想

 日本での震災は、半導体業界全体に影響を及ぼすとみられる。メモリ分野を除いた半導体市の2011年の成長率を「4%」と見込み、3〜4カ月前にTSMCが独自に予想した「7%」から引き下げた。

 半導体市場は、各国のインフレやヨーロッパでの諸問題といった「世界経済を取り巻く状況により、若干軟調傾向にある」。

 なお、米国の市場調査会社であるIHS iSuppliも日本の地震を受けて起こった供給不足に関する予想を発表している。今回の震災により、半導体の平均小売価格が上昇したため、半導体業界全体の売上高は大きく伸びるという。

3)半導体市場をリードする分野は何か

 PCと携帯電話機はこれまで、半導体市場をリードする2大分野であったが、Chang氏は今回、「TSMCは現在、3番目のキラーアプリケーションを見いだした。それは、スマートフォンやタブレットPCといったモバイル機器だ」と述べた。

4)28nmプロセス技術の現状

 Chang氏によると、TSMCはこれまでに、28nmプロセス技術を用いた75の製品をテープアウトしている。これは、40nmプロセス技術が立ち上がってきた当時の製品のテープアウト件数よりも多い。

 TSMCが長きに渡り待ち望んできた、28nmプロセス技術を用いた高誘電率/金属ゲートの計画について、Chang氏は、この技術が「実証済み」であり、「いつでも製造に入れる」と述べた。

5)3Dチップの実用化

 TSMCはこれまで、シリコン貫通電極(TSV:through-silicon vias)を用いた3Dチップの研究開発に、「多大なる情熱」を注いできた。同社は、「systems-level scaling(システムレベルスケーリング)」と呼ばれるパラダイムシフトが起こると見ている。

6)450mmウエハーへの移行

 Chang氏は、「450mmウエハーへの移行には、まだ多くの課題が残る」とした。なお、TSMCは、2013年から2014年に450mmウエハーの製造試作ラインを立ち上げ、2015年から2016年にかけて製造を開始するという方針を繰り返し公表している。Chang氏は、この取り組みは「20nmプロセス」の適用とともに進むとした。

7)他社との競合について

 Chang氏は、「当社の競合先の中には、研究開発に巨額な資金を投じてきた企業もあるが、われわれのような技術を手にした企業はまだない」と述べ、数ある半導体ファウンドリの中でも、TSMCが半導体プロセス技術分野ではいまだトップの座にあるとした。ただし、競合先の具体的な社名については言及しなかった。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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