買収後のSeagate TechnologyはHDD市場のシェア40%に達し、日立グローバルストレージテクノロジーズを買収して、シェア50%を見込むWestern Digitalと、HDDの2強時代を作る。
HDD(ハードディスク)の製造を手掛けるSeagate Technologyは2011年4月19日、Samsung ElectronicsのHDD事業を13億7500万米ドルで買収することを発表した*1。Seagate Technologyは、買収額の半分を自社の株式で、残りを現金で支払う。買収は、2011年末に完了する見込みだという。
*1)訳注 Western Digitalは、日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)を買収する契約を2011年3月7日に発表しており、新会社のシェアは約50%になる。Samsung Electronics(シェアは約10%)の事業を買収する以前のSeagate Technologyのシェアは約30%だった。
買収の条件の下、Samsung Electronicsは、同社製のNAND型フラッシュメモリをSeagate TechnologyのSSD(Solid State Drive)向けに供給する予定だ。Seagate Technologyは、HDDをSamsung ElectronicsのデスクトップPCやノートPC、家電向けに供給する。
両社は今回の買収合意と同時に、両社間で既に締結しているクロスライセンス契約を延長・強化することでも合意した。
今回、Seagate TechnologyがSamsung Electronicsとの戦略的な提携を結ぶことは、Seagate TechnologyがTDKの傘下にあるSAE Magneticsとの関係強化を期待していることを意味する。さらに今回の買収により、Seagate Technologyは、中国や東南アジアの顧客を獲得するとみられる。
Seagate Technologyのチェアマンで、プレジデント兼CEOも務めるスティーブ・ルクゾ(Steve Luczo)氏は、「技術や製品に関するSamsung Electronicsとの戦略的な提携を、両社にとってより良い形で強化できたことをうれしく思う。今回の買収や合意により、当社の事業規模が拡大し、より幅広く革新的なストレージ製品やソリューションを顧客に提供できるようになると見込んでいる他、Samsung Electronicsとの長期的な提携関係が促進されることを期待している」と述べた。
買収完了の暁には、Samsung ElectronicsはSeagate Technologyの普通株4520万株(6億8750万米ドルに相当)の他、現金で6億8750億米ドルを受け取る計画だ。つまり、サムスン電子はSeagate Technologyの株式のうちおよそ9.6%を所有することになり、役員1人をSeagate Technologyの取締役会に送り込むことになる。なお、株式の時価総額は、買収合意前の30日間の出来高加重平均価格に基づき算出された。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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