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ナショセミ日本法人の社長が交代、車載やエネルギー分野に注力ビジネスニュース 企業動向

会見終了後の質疑応答では、Texas Instrumentsによる買収関連の質問が集中したが、特に新しい情報は公表しなかった。

» 2011年04月21日 20時37分 公開
[前川慎光,EE Times Japan]

 米国の大手アナログ半導体メーカーのNational Semiconductorは、日本法人であるナショナル セミコンダクター ジャパンの代表取締役社長を退任するJeff Waters氏の後任として、和島正幸氏が就任すると発表した(図1)。

 和島氏は、日本におけるマーケティング活動を統括するビジネスディベロップメント担当ディレクターとして、2009年に同社に入社した。その後、電気自動車向け電源管理製品や、民生分野のモバイル機器向け製品を担当。2010年からは、車載インフォテインメントや、照明、民生機器などのバーティカルセールス部門も統括している。National Semiconductorに入社前は、Conexant Systemsや日立製作所に勤務した経歴を持つ。

 同社の会計年度は6月〜5月の期間で、4月に幹部社員の人事異動があり、5月に新体制がスタートするのが通例だという。今回の社長交代は、あらかじめ予定されており、3月11日に発生した東日本大震災や、4月4日(米国時間)に発表されたTexas InstrumentsによるNational Semiconductorの買収に影響されたものではないという。

図1図1 写真左(図1)は、日本法人の代表取締役社長に就任した和島正幸氏。写真右は、退任したJeff Waters氏。Waters氏は、本社のプレシジョンシグナルパス部門のVice Presidentに就任する。

Texas Instrumentsによる買収関連の情報は語らず

 2011年4月20日に東京都内で開催された社長就任会見に登壇した和島氏は、今後の事業戦略を説明した。日本市場では、自動車や高付加価値の民生機器、太陽光発電やスマートグリッド、LED照明などのエネルギー分野の成長を期待しており、この3つを対象にした製品領域に注力していくという。

 前述の通り、2011年4月4日(米国時間)にTexas Instrumentsは、National Semiconductorを買収すると発表している。会見終了後の質疑応答では、買収に関連した質問が集中したが、特に新しい情報は公表しなかった。

 上に説明した事業戦略は、Texas Instrumentsとすり合わせたものではなく、「買収完了までは、別組織として既定の開発ロードマップを踏襲していく」(和島氏)と説明しただけだった。統合に向けた今後の過程についても、6月の株主総会で株主の承認を得た後、各国の規制当局の認可を取る作業に入る。買収完了は6カ月〜9カ月後になるという、4月4日に発表したニュースリリースの説明を繰り返した。

 なお、退任したJeff Waters氏は、National Semiconductorのプレシジョンシグナルパス部門のVice Presidentに就任する。プレシジョンシグナルパス部門は、アンプやデータコンバータ、アナログフロントエンド部品などを扱う部門である。Waters氏は、「2008年に日本法人に着任した当初、私は2つの目標を立てた。1つは、本社と協力し、日本の顧客の支援を進めること。もう1つは、後継者を育成すること。私がすべきことは十分に達成できたと考えている」と語った。日本市場において、LED照明や太陽電池、電気自動車といった新しい市場で事業を立ち上げたことを成果に挙げた。

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