図2に、図1のオペアンプの入力電圧と出力電圧の範囲を示しました。グラウンドと電源電圧のほぼ全範囲で動作しているので、特性として申し分ないと思います。それでは次に、オープンループ特性の交流解析を実施してみましょう。
オペアンプは、通常は、出力と入力を何らかの部品を介して接続し、ループを閉じて使うことがほとんどです。この状態の諸特性が安定かどうかは、部品を接続していないときの特性(オープンループ特性)で、位相余裕などを確認するのが一般的です。
一般に、オペアンプのように、利得が非常に高い増幅回路の交流(AC)解析を実施するときには、バイアス電圧に十分な配慮が必要です。動作点の変化によって、交流特性が大きく変わるからです。
図3(a)では、バイアス点を調整しなくても済むように、反転入力(V−)と出力VOUTを、大きなインダクタで接続し、負帰還を掛ける方法を使いました。つまり、直流では負帰還が掛かり、非反転入力(V+)と反転入力(V−)の動作点は等しくなります。これに対して交流では、インダクタのインピーダンスによって、反転入力(V−)と出力VOUTは電気的に切断されます。この状態で、信号源を容量結合で入力に接続することで、動作点を意識せずに交流解析を実施できます。
図3(b)は、図1に示したオペアンプの交流解析の結果です。横軸は周波数、縦軸は利得と位相です。利得が0dBとなる周波数は350MHzです。その周波数における位相(位相余裕)は約60度もあります。通常のオペアンプとしては、申し分ない特性だと思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.