それでは早速、図1のオペアンプをバッファとして使ってみましょう。まず、図4(a)のように、ボルテージフォロアとして使い、入力可能な電圧範囲を確認します。
図4(b)は、ボルテージフォロアとして使ったときの入出力特性です。図中の緑色の線が入力電圧、図中の青色の線が出力電圧です。電源電圧の中間付近(およそ1〜4Vの付近)は問題ありません。しかし、電源やグラウンドに近い電圧を入力すると、緑色の線と青色の線が一致せず、出力が追従できなくなっていることが分かります。
過渡解析を別途実施したところ、入力電圧の違いによって、電源やグラウンドに近い電圧を出力できるかどうかが決まることが分かりました。そこで次回は、この原因を解明してみましょう。入力電圧に着目して、オペアンプの内部動作を詳しく説明します。
美齊津摂夫(みさいず せつお)
1986年に大手の通信系ハードウエア開発会社に入社し、光通信向けモジュールの開発に携わる。2004年に、ディー・クルー・テクノロジーズに入社。現在は、同社の常務取締役CTO(最高技術責任者)兼プラットフォーム開発統括部長を務めている。「大学では電気工学科に所属していたのですが、学生のときにはアナログ回路の勉強を避けていました。ですから、トランジスタや電界効果トランジスタ(FET)を使ったアナログ回路の世界には、社会人になってから出会ったといっていいと思います。なぜかアナログ回路の魅力に取りつかれ、23年目になりました」(同氏)。
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