旭化成 情報技術研究所は、宅内にあるテレビを活用した生活行動センシング技術を開発し、ESEC2011に展示した。
遠く離れた土地に住む家族はきちんと生活しているだろうか、日々規則正しい生活をできているだろうか……。そんな疑問は、テレビに取り付けた各種センサーを活用することで解消できるかもしれない。
旭化成 情報技術研究所は、宅内にあるテレビを活用した生活行動センシング技術を開発し、組み込み機器の総合展示会「第14回組込みシステム開発技術展(ESEC2011、2011年5月11日〜13日)」に展示した(図1)。
テレビに取り付けた赤外線センサーやカメラ、マイクを使い、生活者の行動を把握することを目的としたセンシング技術である。
まず、赤外線センサーを使い生活者がテレビの前にいるかどうかを検出する。テレビの前に生活者がいるときにのみ、カメラを動作させる。例えば、カメラで撮影した映像を画像処理することで、生活者が男性か女性か、笑っているかどうか、ひとりなのか、複数名でいるのかなどを判別する。このような情報に、マイクで取得した情報を組み合わせることで、食事しているのか、テレビを見ているのか、掃除をしているのかといった行動も把握することができる。
「カメラとマイクで取得した情報をうまく解析することで、生活者が何をしているのかを、より深く把握できる」(旭化成 情報技術研究所の担当者)という。センシングした生活者の行動を長期間蓄積することで、いつも通りの生活ができているのか、それとも何らかの異常が発生しているのかを判断できる。
同社は、見守られていることを利用者に意識させず、身の回りにあるセンサーが働いていてくれる、そんなアンビエント情報社会の実現に向けて、「暮らしの見守り空間」を提案したいという。
想定しているサービス例を3つ挙げた(図2)。1つは、「生活リズム/スタイルの見守りサービス」。日常生活の会話やだんらん、掃除、食事の様子から、生活リズムや生活スタイルを把握し、何らかの異常があったときに当人や家族に伝えるもの。
2つ目は、日常の食事時間や食事内容を基に、食生活に合わせた健康指導をする「食生活の見守り/指導サービス」。3つ目は、テレビ番組やCMへの関心度合いや好感度を把握し、関心や好みを基にテレビ番組や商品情報を提供する「パーソナルコンシェルジュサービス」である。
「上記のサービス例にとらわれず、展示会でさまざまな要望を聞きたい」(担当者)。
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