ロームがLED照明事業について記者説明会を実施。グループ子会社が展開するLED照明「AGLEDシリーズ」ラインアップを大幅拡充し、全社成長戦略の1つである「LED事業の拡大」を一段と加速させる。
ロームは2011年9月20日、グループ子会社の家庭用照明器具メーカー・丸善電機(2011年10月1日からアグレッドに社名変更)のLED照明事業について記者説明会を実施、家庭用LED照明「AGLEDシリーズ」のラインアップを大幅に拡充すると発表した。
これまでは天井直付けタイプのシーリングライトなど13機種の品ぞろえだったが、ペンダントライトやシーリングファン、キッチン用棚下灯、浴室灯、ポーチライトなど41機種を10月から一挙に追加。新製品で初年度年間20万台の販売を目指す。さらに同社はLED照明の売上を今年度25億円まで拡大し、来年度は100機種以上のラインアップ、売上35億円を目標に取り組む方針。これによりロームは、全社成長戦略の1つである「LED事業の拡大」を一段と加速させる。
京都で行なわれた新製品発表会の席上、ロームの山葉隆久常務取締役は「当社は1973年にLEDの販売を開始しており、40年近い歴史を持つが、LED照明では後発。またBtoC販路獲得のために昨年買収した丸善電機も、LED照明には参入したばかり。知名度の低いブランドを2つ持っていてもしょうがないので、BtoBもBtoCもAGLED(アグレッド)に統合することにした」と社名・ブランド統一の経緯を説明した。
また山葉常務は「器具設計・デザイン設計を一緒にすることで開発スピードを速められるのが最大の強み。一緒になって1年も経っていないこの時期に、12タイプ41機種もの新製品が出せることからも分かって頂けると思う」とシナジーをアピール。さらに「設計や製造を中国・アジアのメーカーに委託するLED照明メーカーが多い中、光源・電源はロームの大連工場(中国)、器具の組立は丸善電機の氷上工場(兵庫県)と、AGLEDは全てグループ内で行なっており、高品質を確保。グループの調達力、物流網を生かしてコスト競争力向上も図れる」と独自のメリットを強調した。
東日本大震災後の節電志向が盛り上がる中、大手ブランド、照明専業ブランド、さらにはストアブランドや異業種からの参入も含め非常に多くのLED照明が発売されている。この熾(し)烈な競争に打ち勝つべく投入する新「AGLED」シリーズの差別化ポイントは、(1)インテリアからエクステリアまでまるごと置き換えられる豊富な品ぞろえ(2)人間の生活リズムに合わせた最適な光に自動調節するサーカディアンリズム機能(3)ローム製モジュールならではの薄型設計・省エネ性能、の3点だ。
ラインアップは、主照明であるシーリングライト11機種、ペンダントライト6機種、セパレートシーリング6機種、シーリングファン3機種のほか、提灯タイプ、浴室灯、スポットライトなどのインテリアから、ポーチライトなどのエクステリアまで幅広くカバー。日本市場独特の商品であるペンダントライトについては、マーケット調査により中高年層から根強い人気があることが分かったため、和風、洋風の両デザインをそろえた。
機能面でも独自の新機能を盛り込んだ。ローム製LED光源の特徴の一つが、明るさと光色を自在に調節できる「2665通りのあかり」だ。20%の暗さから100%の明るさまで明暗を73階調、白色から暖色まで光色を73階調、それぞれ調節可能。これを組み合わせることでシーンに合わせたあかりの演出を楽しむことができる。
さらに新シリーズでは、暮らしに合わせた最適な色温度を自動で選択するサーカディアンリズム機能を新たに搭載した。日中は白色〜昼白色、夜は落ち着いた電球色と、24時間最適な光でくつろぎを与える。
LED照明と言えば「省エネ」だが、新製品では丸善電機の光学設計ノウハウに加え、それぞれの器具に最適な光源・電源を開発・採用することで、省エネ性能を一段とアップさせることに成功。シーリングライトAC-60084/60085/60086/60080では、81.3ルーメン/wという業界最高レベルの省エネ性能を達成している。
ローム製薄型LEDモジュールユニット採用による器具の薄型化も大きな差別化ポイント。シーリングライトでは、強度を保ちながら電源回路部とLED基板を一体形成することで、「業界最薄」(同社)の39ミリという薄型デザインを実現した。またエアコン使用時の冷暖房効率を高めるという特徴から急速に人気が高まっているLEDシーリングファンでは、業界最薄レベルの器具高27.5センチを達成。従来品(器具高40センチ前後)では取り付けが難しかった一般的な天井高(240センチ程度)でも圧迫感なく使用できるので、シーリングファンをあきらめていたマンションのリビング空間などにも設置できる。
LED照明は、登場から瞬く間に需要が増加したため、安全規格や性能の指標統一が後手に回っているのが現状。十分な技術ノウハウ・製造ノウハウがないメーカーの製品も市場に数多く出回っており、これが売価の下げ圧力になっている点は否めない。
山葉常務は「光源・電源から手掛けている技術的優位性やグループの調達力を生かしたコストダウン努力は続けるが、単に価格の安さだけを追い求めることはしない。幅広いラインアップ構成や薄型化、省エネ性能、調光・調色などの独自機能といった付加価値を付け、ある程度の価格帯は守っていきたい」と語った。
新製品はいずれもオープン価格で、実売想定はシーリングライトが4万〜6万円、シーリングファンが8万円前後、ペンダントライトが4万円前後、セパレートシーリングが6万円前後。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.