村田製作所が展示した未来のリモコンのコンセプト展示は、三井化学と関西大学と共同で開発した高透明度有機圧電フィルムを使ったもの。非焦電性という特徴がある。
未来のテレビリモコンには、ボタンは不要――。村田製作所は、板状のリモコンをひねったり曲げたりすることでデジタルテレビなどを操作する「リーフグリップリモコン」を開発し、エレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2011」(2011年10月4日〜8日に幕張メッセで開催)に出品した。
同社が、三井化学、関西大学と共同で開発した高透明度有機圧電フィルムを使ったもの。曲げ検知用圧電フィルムとねじり検知用圧電フィルムをアクリル板で挟み込んだ構造を採っており、曲げ変位量やねじり変位量に応じた電気信号が出力される仕組み。
この電気信号をあらかじめ定めたしきい値に応じてソフトウェア処理することで、例えば、グリップをねじると番組を選局、グリップを曲げると音量をアップ/ダウン、グリップを素早く曲げると電源をオン/オフといった直感的なリモコンを実現できる。
従来の一般的な圧電フィルムは、温度変化によってフィルムの表面電荷が変化する「焦電性」があるため温度変化と、曲げ・ねじりを分離できないという課題があった。これに対して新たに開発した圧電フィルムは、焦電性を持たない(非焦電性)という特徴があることから、曲げやねじりの変化量だけを電気信号として取り出すことが可能になったという。
この他、村田製作所のブースには、新たに開発した圧電フィルムを利用した「タッチプレッシャーパッド」の展示もあった。静電容量方式のタッチパネルと、押圧検知用圧電フィルムを一体化したもの。「圧電性を有しているため、X軸、Y軸のみならず、押し込む方向であるZ軸を、一枚のフィルムで検出できることが特徴」(同社)という。ノートPCなどのタッチパッドや、タブレットPCやスマートフォンのタッチパネルといった用途を想定している。
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