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シェア巻き返しを図れるか、NokiaがWindowsスマホを発表ビジネスニュース(1/2 ページ)

2007年以降、スマートフォン市場で苦戦を続けてきたNokia。「Windows Phone」を搭載したスマートフォンの投入で巻き返しを狙う同社だが、製品の差別化や価格帯の観点から考えると、一筋縄ではいかないようだ。

» 2011年10月31日 15時06分 公開
[Sylvie Barak,EE Times]

 Nokiaは2011年10月26日、英国ロンドンで開催した「Nokia World 2011」で、Microsoftのスマートフォン向けOS「Windows Phone」を搭載したスマートフォン(以下、Windowsスマートフォン)を発表した。「Lumia 800」と「Lumia 710」の2機種で、「Windows Phone 7.5(開発コード名はMango)」を搭載している。Windowsスマートフォンとしては、Nokia初の製品となる。

 上位機種であるLumia 800は、3.7インチのAMOLED(アクティブマトリクス式有機EL)ディスプレイと、1.4GHz動作のプロセッサ、Carl-Zeissレンズを搭載した800万画素のカメラ、16Gバイトのメモリを搭載している。Appleの「iPhone 4S」やSamsung Electronicsの「Galaxy S II」の競合機種と位置付ける。一方のLumia 710は、500万画素のカメラと8Gバイトのメモリを搭載した中位機種だ。両機種とも、1450mAhの大容量バッテリを搭載する。

ALT Nokia初のWindowsスマートフォン

 米国の市場調査会社であるIDC(International Data Corporation)のFrancisco Jeronimo氏は、Lumia 800について、「スリムな流線形のフォルムを持つ、優れた設計のスマートフォンだ。最高レベルのカメラをはじめ、強力なセールスポイントを備えている」と評価する一方で、「『Android』とAppleの『iOS』が主流になっているスマートフォン市場での競争は厳しいものになるだろう」と指摘している。

 同氏は、Lumia 710については、「中位機種の発表は2012年第2四半期以降になると予想していたので、Lumia 800と同時期に発表されて驚いた。Lumia 710は、スマートフォン市場のダークホース的存在となる可能性もある」と述べている。「Lumia 710は中位機種でありながら、上位機種と同等のスペックを有し、1.4GHzプロセッサを搭載するスマートフォンでは最も購入しやすい機種だと言える」(同氏)。

 さらにJeronimo氏は、「Stephen Elop氏がNokiaのCEO(最高経営責任者)に就任し、戦略を180度転換したことが功を奏している。同社は、ここ数年間で大きな発展を遂げた」と述べている。

 Jeronimo氏は、「Elop氏は、世界最大の携帯電話機メーカーのCEOとして一歩を踏み出した。同氏はNokiaに新たな戦略と新しいパラダイムを提起し、それを実行した。そして、Windowsスマートフォンを、1台だけでなく2台同時に投入するという期待以上の成果を生み出した」と語る。「Nokiaは今、過去数年間同社に欠如していたものを手に入れた。すなわち、市場の動きについていくスピードである」(Jeronimo氏)。

 だが、すべてのアナリストがJeronimo氏のような印象を持ったわけではない。米国のコンサルティング会社であるJ Gold AssociatesのJack Gold氏は、「Nokia World 2011での発表は、同社の立て直しに十分なレベルのものとは言えない。同社は、再生のチャンスを逃した」と述べている。

 Gold氏は、「発表を聞いて、私は多くの疑問を感じた。例えば、Nokiaは、このWindowsスマートフォンのどこに付加価値をつけているのだろうか。MicrosoftがWindows Phoneで提供している機能を拡張するために、どんなことをしたのだろうか」と疑問を投げかけた。同氏は、「Nokiaは、『魅力的なハードウェアを製造する方法は熟知していても、市場での差別化を図るようなサービス、とりわけ、重要なビジネスユーザー向けのサービスを提供する能力に欠けている』ということを、またしても露呈してしまった」と続けた。

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