車載機器メーカーのクラリオンは現在、フルデジタルスピーカー用信号処理技術「Dnote」に対応した専用LSIを開発中だ。2012年初頭には専用LSIを搭載した評価システムのサンプル出荷を開始する。高音質と低消費電力を両立させたオーディオ再生が可能になるという。
デジタルのオーディオ信号をアナログ信号に変換することなく、スピーカーを駆動する――。一般的なダイナミックスピーカーが発明されて以来変わることのなかった、「スピーカーにはアナログ信号を入力する」という常識を覆すスピーカー(フルデジタルスピーカー)が実用段階に入りつつある。
車載機器メーカーのクラリオンは、フルデジタルスピーカー用信号処理技術「Dnote」に対応した専用LSIを現在開発中で、2011年内にテープアウトする(設計を完了して製造に着手する)。2012年初頭には専用LSIを搭載した評価システムのサンプル出荷を開始し、早ければ2012年秋には最終製品として世の中に登場する見通しだという。
同社でフルデジタルスピーカーの開発に携わる担当者は、「当社がプレミアムオーディオと呼ぶ音質の高さと、既存のスピーカーシステムの1/8という消費電力の低さを両立できることが特徴だ。当社の音のブランドをフルデジタルスピーカーで再興する、その意気込みで開発を進めている。フルデジタルスピーカーが実用化されれば、スピーカーの世界が大きく変わることになるだろう」(同社)と語った。
同社は、現在開発に取り組んでいる車載向けフルデジタルスピーカーを、「第42回東京モーターショー2011」(一般公開日12月3〜11日、東京ビッグサイト)に出品し、特徴をアピールしている*1)。車載向けフルデジタルスピーカーが日本国内で一般公開されるのは今回が初である。
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