今回と次回は、エレクトロニクス分野の材料に関する話題を例に、市場調査の基本となる考え方を解説します。材料に特化した事例が幾つか出てきますが、市場をどう捉えるか?という観点で機器メーカーのエンジニアにも役に立つ内容です。
本連載の第1回「リサーチ専門会社の業務を知ろう」では、リサーチ(市場調査)を専業にしている矢野経済研究所の事例を基に、企業が市場調査をする目的や、市場調査とマーケティングの違い、リサーチ会社に求められていることを紹介しました。
今回と次回は、エレクトロニクス分野の材料に関する話題を例に、市場調査の基本となる考え方を解説します。材料に特化した事例が幾つか出てきますが、市場をどう捉えるか?という観点で機器メーカーにも役に立つ内容です。第4回以降は、今回や次回の内容を下地に、「ヒアリング」、「分析・予測」、「調査後」という市場調査の各工程に焦点を当てます。(EE Times Japan 編集部)
前回、「リサーチ」としての媒体は、リサーチ会社が独自に企画し、調査する従来型の「自社企画リポート(MR:Market Report)」や、民間企業や官公庁などから個別に依頼を受けて実施するカスタム調査(依頼調査)に大別できることを紹介した。
依頼調査の場合は、基本的にクライアントの要望に沿って調査を設計をする。クライアントが望んでも調査項目によってリサーチ会社にできること、できないことがあるし、金額と納期といったことが大きな問題となる。
一方、自社企画リポートやマルチクライアント調査はリサーチ会社が調査設計し、世に問う形となる。この場合、当社(矢野経済研究所)は「3Dリサーチ」を心掛けている。図1のように、市場全体を立方体に見立て、X軸は分野(自動車、エレクトロニクス、機械……)、Y軸は地域、Z軸は原料(川上)から製品(川下)までの流れをまとめる手法である。
当社CMEO事業部では主にエレクトロニクス部材を担当しているので、エレクトロニクス・IT分野のある製品を「材料(素材)」、「加工品」、「デバイス」で追い掛け、地域は日本、韓国、台湾、中国といったことが多い。プロジェクトの規模に応じて、欧米が対象地域となることもある。テーマにもよるが、最近ではタイやベトナム、マレーシア、フィリピンといった東南アジアも対象となってきている。少し時間がかかるかもしれないが、今後、インドや南米、ロシアなども対象地域となってくるだろう。
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